失はれた設計図 ――私は存在しない幻影
- カテゴリ: 小説/詩
- 2026/05/08 19:59:40
Ⅰ.風のしらべ(序奏)風が吹いている、見知らぬ街の角で
私はそこにいないのに、私はそこに立たされる
淡いパステルの空に、一羽の鳥が消えるやうに
私の存在は、ただの「さよなら」の余韻にすぎない。(あなたは、私の肩に手を置こうとする
けれど、指先は夕闇をすり抜けてゆくばかり)それは しあはせな 幻影だ...
Ⅰ.風のしらべ(序奏)風が吹いている、見知らぬ街の角で
私はそこにいないのに、私はそこに立たされる
淡いパステルの空に、一羽の鳥が消えるやうに
私の存在は、ただの「さよなら」の余韻にすぎない。(あなたは、私の肩に手を置こうとする
けれど、指先は夕闇をすり抜けてゆくばかり)それは しあはせな 幻影だ...
青い 玻璃(はり)の夜を 風がわたる
樹々の梢(こずえ)が さざめいて
見えない指さきが そつと
空の頁(ぺえじ)を めくつてゆく窓をあけて 待つてゐたのだ
おまへのやうな しづかな光が
庭の隅の ヒアシンスの影を
やはらかく なぞるのをああ 五月の月を ゼリーにして
銀のさじで すくへたなら!
...