Nicotto Town



思ったこと、感じたことの日記

【8月期小題】 「海」

≪変わらぬ海…変わる人≫マキエは、遠ざかって行く小船のエンジン音を聞きながら、艫(とも)と呼ばれる堤防の上に立ち、沈んで行く夕陽をじっと見つめていた。
船の舳先(へさき)を舳(みよし)と言い、後尾部分を艫と呼ぶ。この地域はどこも海の町らしく、陸地の後尾たる堤防域のことを艫と呼ぶのだ。艫...

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風は吹いている

暑い日差しは照りつける 毎日毎日変わらずに
それでも風は吹いている たとえ小さく僅かでも
風は時を告げたりしない だけど必ず事物を変える
時には形あるものを歪めもする 不潔なものを綺麗にもする
時に私は『風になりたい』と願う 誰かに何かを与えたいと思って
だけど人は常に風なのである 常に誰かに何かを...

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【7月期小題】「浴衣/幽霊」

≪僕が幽霊を怖がらなくなった訳≫
僕が9才、弟が7才になった夏休みのこと。僕たちは、初めて二人だけで母の田舎に行った。新幹線で博多まで行き、列車を乗り継つぎ、田舎の駅に迎えに来ていた祖父母に会うまで約12時間の旅だった。祖父母の家に着いた僕は、夕食後に熱を出して寝込んでしまった。
おそらく、出発の数...

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【6月期小題】「雨/『伝説の雨』」続き

- つづき -

遂王・蓮(すうおう・れん)は、蚩王・尤(しおう・ゆう)の姿に思わず目を伏せた。それはほんの一瞬のことだったが、彼にとって生涯最も長い瞑目の時間に思えた。
だが、その瞑目は尤の声によって破られた。ただ一人、真っ直ぐ遂王に向かって行った尤が、弓の射程に入った瞬間に雄叫びを上げたのだ。
...

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【6月期小題】「雨/『伝説の雨』」

人間が治水に技術を傾けることになる遥か昔、すでに耕作は行われていたが、豊凶の鍵となる水はすべて天の恵みだけが頼りであった。

そんな時、遂(すう)国において連年日照りが続き未曾有の飢饉が起こった。川は涸れ、雨も丸一年以上も降らなかった。
この飢饉は、遂王・蓮(すうおう・れん)に苦渋の決断を迫ることに...

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