■近代文藝之研究|研究|自然主義の價値(7)
- カテゴリ: その他
- 2009/11/27 21:02:39
■近代文藝之研究|研究|自然主義の價値|二 (4)
さらば此等の内容的意義を引き去つて此の二作を見るか。たしかに手だれの作であるからそれ丈としても面白いには相違ない。たゞ同時に作の威嚴が無くなつて、段々普通の娯樂機關に近づく。我等の審美判斷の少なくとも半面の評價が下落する。此の兩作を特に他作から抽...
島村抱月・著『近代文藝之研究』のテキスト・データ化ブログ。2014年02月に全文のデータ化終了。只今入力ミス等の校正進行中。
■近代文藝之研究|研究|自然主義の價値|二 (4)
さらば此等の内容的意義を引き去つて此の二作を見るか。たしかに手だれの作であるからそれ丈としても面白いには相違ない。たゞ同時に作の威嚴が無くなつて、段々普通の娯樂機關に近づく。我等の審美判斷の少なくとも半面の評價が下落する。此の兩作を特に他作から抽...
■近代文藝之研究|研究|自然主義の價値|二 (3)
『金色夜叉』は明に一の落想を以て人生の意義の一片を見させやうとする、思想上の印象を覘つた作であらう。而して前者は其の所含の意義があらはな思想で無いだけに、一方からいへば一層多く渾然として自然派的であるが、一方からいへば情緒のうしろに深い背景が無さ...
■近代文藝之研究|研究|自然主義の價値|二 (1)
二
目下の我が文壇が前掲の要項に對して提出する疑問は一二に止まらないが、それに先だつて一瞥して置く必要のあるのは現時の小説が實際前期(と假りに呼ぶ)の作風と如何なる點で相違するかといふ事である。吾人は參考のため前期の代表作の一二...
■近代文藝之研究|研究|自然主義の價値|一 (3)
專ら彼の地に於ける事實及び理論を基として自然主義の要領と見るべき點を數へ出さんと試みたのが、一月の論の趣旨であつたが、其の結論としては、作の態度方法の上に純客觀的と主觀挿入的との二項目を得、作の目的題材の上に自然の眞といふこと、之れを碎いては社會...
■近代文藝之研究|研究|自然主義の價値|一 (2)
其の一末梢を將つて搖かすも、震動は幹に及び根に及ばなければ休まぬといふ趣で、一端の説も直ちに文藝存立の根本問題、乃至人生道徳との交渉問題に入らねば解決せられぬやうに見える。其の實地運動が極めて重大な意義を有すると同じく、自然主義論も責任の重い大問...