『家政婦なら見れるかも』 6 ―敦良―
- カテゴリ: 自作小説
- 2009/07/13 03:16:06
「屋敷の者達は、お前を丁重に扱ってたけど、どこか敬遠してる感じだった。
それで、お前、叔父上の隠し子なんじゃないか……って……」
小春は肯定も否定もせず、こう尋ねた。
「それは誰が言ってたんですか? 殿下の乳母兄弟?」
皇子は「違う!! 俺の考えだ」と怒鳴ったが、どうやら当たりらしい。
...
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「屋敷の者達は、お前を丁重に扱ってたけど、どこか敬遠してる感じだった。
それで、お前、叔父上の隠し子なんじゃないか……って……」
小春は肯定も否定もせず、こう尋ねた。
「それは誰が言ってたんですか? 殿下の乳母兄弟?」
皇子は「違う!! 俺の考えだ」と怒鳴ったが、どうやら当たりらしい。
...
声の主は、先ほどの皇子だ。
「殿下。わざわざ、このような場所においで頂き……」
「挨拶はどうでもいいよ。お前、俺の家に居ただろ?」
『俺の家』とは、皇子が暮らしている右大臣家のことだろう。
「屋敷の者が話してるのを聞いたんだよ。
2ヶ月くらい前から、知らない姫が暮らしてるって...
(小春、か。安直な名前だ。どうでもいいけど)
少女は自室に戻ると、心の中で呟いた。
自室といっても、大部屋を仕切っただけだ。誰かに聞かれるとも限らない。
小春とは11月頃のこと。暦の上でも冬。
今は7月。この猛暑の中だ。小春日和を思い浮かべる人の方が少ない。
「春恋いし 小春日和を...
現れたのは、1人の少年だった。
「えっと、爺ちゃんから手紙を預かってきました」
少年は立ったまま、ぶっきらぼうに言った。
後ろに立っている少年が誰なのかは、少女にも想像できた。
弘徽殿女御の息子だろう。今年で13歳のはずだ。
「来る時は、前もって連絡するように言ってるでしょう...
連れられて来られたのは、12歳くらいの少女だった。
「顔あげて。こちらへいらっしゃいな」
弘徽殿女御は驚いていた。まさか、子供とは。
落ちぶれた宮筋の未亡人、そんなのを想像していた。
自分の息子達と同年齢である。
彼らなら、今ごろ実家の庭を走り回っているはずである。
「はい...