自作ドラゴンクエストⅡ~悪霊の神々・144
- カテゴリ: 自作小説
- 2016/01/17 11:46:41
【命の紋章】
闇の中は濃い死臭に満ちていた。空気は淀んで冷たく、骨の芯から凍りつきそうな冷気が漂っている。ランドが灯明の魔法を使って、ルナのいかずちの杖の先に広範囲を照らす灯りをともしたが、闇はなお深く、先を見通すことはできない。
ロンダルキア台地の胎内は、床も壁も整然と整えられていた。広い空...
日々感じたことを書いています。
なんとなく、徒然草。
【命の紋章】
闇の中は濃い死臭に満ちていた。空気は淀んで冷たく、骨の芯から凍りつきそうな冷気が漂っている。ランドが灯明の魔法を使って、ルナのいかずちの杖の先に広範囲を照らす灯りをともしたが、闇はなお深く、先を見通すことはできない。
ロンダルキア台地の胎内は、床も壁も整然と整えられていた。広い空...
ロラン達は半日かけて深い森を抜けた。木々の隙間から見えていた青空は次第に曇り、盆地に広がる枯れた平原を薄暗く見せていた。
盆地の周囲は峻厳な岩山に囲まれている。ロラン達から北側にひときわ高くそびえる山々が、目指すロンダルキア台地だ。
3人は表情を厳しくし、無言でさらに西へと急いだ。やがて平原が...
結界を抜けると、薄暗い小部屋に青白い光の渦があった。これが、かつてハーゴンが開いたという旅の扉だ。
「行くぞ……」
ロランは二人を振り返る。ランドとルナはうなずき返した。ロランは息を吸いこみ、旅の扉に足を踏み入れた。
軽く目が回るような感覚がした瞬間、薄暗い堂内に立...
【魔界の門】
ベラヌール監獄は、朝日に輝く湖を背に堅牢な姿を見せていた。ロラン達が門衛に近づくと、彼らは無言で道を空けた。町を治める法王ハミルトに言い含められているためだ。
ハミルトは、ロラン達がハーゴンに近づく手がかりを探すためにベラヌールの町や施設を探索することを認め、決して邪魔だてしない...
船は茫漠とした白い空間に浮かんでいた。
(ここは……)
ロランは甲板の上で、ぼんやりとあたりを見回した。濃密な乳色の靄(もや)が広がり、かすかな波の音でどこかの海上だと気づく。
朝日が世界に色彩をもたらす直前の、無のような白の時間帯だった。
ロラン達は誰ともなくそ...