自作ドラゴンクエストⅡ~悪霊の神々・131
- カテゴリ: 自作小説
- 2015/11/22 09:24:41
宝はわざと遠回りさせる――。
以前ランドが言った名言は、この塔にも生きていた。銀の扉に閉ざされた秘密の階段を見つけたロラン達は、そこから1階まで下り、ついに塔の胎内へたどり着いた。
「ここか」
ロラン達は扉を見上げた。両開きのそれには、海に浮かぶ満月が金と銀の金属で浮き彫りされていた。鍵穴は見...
日々感じたことを書いています。
なんとなく、徒然草。
宝はわざと遠回りさせる――。
以前ランドが言った名言は、この塔にも生きていた。銀の扉に閉ざされた秘密の階段を見つけたロラン達は、そこから1階まで下り、ついに塔の胎内へたどり着いた。
「ここか」
ロラン達は扉を見上げた。両開きのそれには、海に浮かぶ満月が金と銀の金属で浮き彫りされていた。鍵穴は見...
塔は狭く、階段の数は多かったが、罠や仕掛けはなかった。ただ、現れる魔物の数は多彩で、悪魔神官に似た仮面の魔物・地獄の使いや、翼竜バピラス、ゴールドオークや腐った死体など枚挙にいとまがない。
次々と襲い来る魔物達に、さすがのロラン達も徐々に疲れが見え始めた。数歩進めば次の群れが来るというありさまで...
【満月の塔】 満月の塔へ入るためには、大陸の川からさかのぼって、塔のある島へ侵入しなければならない。
ロラン達はまず、ルーラでペルポイの町まで行った。その船着き場から大陸沿いに北へ進み、塔へつながる河口から上流へ向かった。そして、およそ5日かけて3人は満月の塔がたたずむ島へ上陸したのだった。
「す...
【水門を開く】
「引き受けてくれてよかったね。10日は長いけど、羽衣ができる時間にしては、すごく早いよ」
モハメの家を出て、ランドが言った。
「そうね。織物って普通、何か月もかかるものだし。それに、待ってる間、私達にはやることがあるからちょうどいいわ」
「ああ。満月の塔へ行かないとな」
そのた...
【ドン・モハメ再び】
聖なる織機を携えたロランが古びた戸をたたくと、仏頂面の小柄な老人が無言で現れた。
「何の用じゃ」
「聖なる織機を持ってきました」
真昼の光を背に、ロランは穏やかに答えた。老人――最後の匠であるドン・モハメは、ロランの背に輝く金色の箱を見上げた。短く言う。
「入れ」
北の...