銀の狐 金の蛇 18話「トゥー」(後編)
- カテゴリ: 自作小説
- 2017/08/03 02:31:38
「家族の安否を確かめなくてよいのか? そなた、心配だろう?」「いえ、ほかの男衆があのように動いておりますんで大丈夫でしょう。私は魚喰らいさまを手伝います」「しかし」「大丈夫です」
なぜか士長はかたくなに、家族のもとへ行くことを拒んだ。
(そういえば若君が殺された夜も、この男は家族には会わずに現場...
「家族の安否を確かめなくてよいのか? そなた、心配だろう?」「いえ、ほかの男衆があのように動いておりますんで大丈夫でしょう。私は魚喰らいさまを手伝います」「しかし」「大丈夫です」
なぜか士長はかたくなに、家族のもとへ行くことを拒んだ。
(そういえば若君が殺された夜も、この男は家族には会わずに現場...
冷え切った風が暗い穴を吹き抜ける。ひゅおおうと、どこからか穴を通る空気が鳴っている。ひとつところからではない。そこかしこから聞こえていて、うるさいぐらいの音の|交叉《こうさ》だ。
「細い穴がたくさんあるのだな」「空気穴です。地上にむかってかなりの数、あけられています」
白子を背負う士長がうなずく...
「モノノケ……ではない? よな?」
夢見の導師はまじまじと、その白い子供を見つめた。 重みある肉体がちゃんとある証拠に、その子を抱えている士長は腰をかがめている。 崩れた天井や壁の瓦礫からかばったせいか、彼は肩口にすり傷を負っていた。
「違います、魚喰らい様。トゥーと呼...
俺はひたすら降りていた。 かつりかつり、軍靴の音を鳴らしながら。一段一段ゆっくりと、階段をひたすら降りていた。 そこはゆるやかな螺旋階段で、なだらかな円をなす壁はとても暗い。 何段あるのか、数えることを忘れたころ、延々と降りた渦巻きの底に行き着いた。 そこはかなり暗い広間で、なんとも不思...
「王様からのご褒美すごいわよね。あれ、あなたよりも十倍はでっかい金剛石だったわ」 窓辺に寝そべる猫がぱしんぱしん。尻尾を振りながらにゃあにゃあ。 「とってもきらきらしてた。いいなぁ。あたしにくれないかしら~」 私もいちおう、金色のきらきらが入ってますが… 「そうね。でもあな...