自作ドラゴンクエストⅡ~悪霊の神々・91
- カテゴリ: 自作小説
- 2015/10/16 16:58:02
「……どこかで聞いたような話だなぁ?」
ランドが首を傾げる。ロランは、まさかと思った。
「これって、勇者ロトの日記じゃないか?」
「ええ?!」
「うそっ……! でも、そう言われると妙に真に迫っているわよね、この文章」
ロラン達はまじまじと幹...
日々感じたことを書いています。
なんとなく、徒然草。
「……どこかで聞いたような話だなぁ?」
ランドが首を傾げる。ロランは、まさかと思った。
「これって、勇者ロトの日記じゃないか?」
「ええ?!」
「うそっ……! でも、そう言われると妙に真に迫っているわよね、この文章」
ロラン達はまじまじと幹...
【炎の涙】
「あれが世界樹の島?」
「ああ」
ランドは舳先で、霧がかかる峻烈な岩山の孤島を見ていた。かたわらでロランはうなずいた。ランドは感慨を込めて島を見つめていた。
――ベラヌールから船で東へ。ロラン達は再び、世界樹の島を訪れていた。
世界樹の葉に命を救われたランドが、どうしても世界樹を...
王は剣を高く振りかざした。剣からまばゆい光がほとばしる。神々しい閃光に、デモニスが一瞬怯んだ。王は剣を構えて突進した。たとえ戦いに出ることはなくても、日々の鍛錬を欠かすことはなかった。その精華が渾身の一撃を放つ。
「でやあっ!」
王の袈裟がけの斬撃に、デモニスは絶叫してのけぞった。
「今だ!」
...
ロラン達がベラヌール拘置所に抑留されているころ、カイルはキメラの翼でローレシア城に帰還していた。事の次第を王に報告するためである。
(一刻も早く、王子達の身元を証明して保釈してもらわねば)
取り次ぎも慌ただしく謁見の間に向かうと、王は玉座にて数名の神官と対面していた。近衛隊長シルクスが、部下のカ...
拘置所は男女の別がない。もっぱら男が多く送還されてくるため、女性用の房がないのである。
薄暗い鉄格子の部屋にロランとランドが入り、その隣にルナが入れられた。
「まったくひどいなぁ。人生で牢屋に入る日が来るなんて思わなかったよ」
ランドは藁(わら)を詰めた固いベッドに横になってみた。寝心地悪いな...