ジョーカーの冬の国より~その7
- カテゴリ: 自作小説
- 2011/06/18 01:50:06
ナイトメアを布団から引きずり出したり、拘束して薬を飲ませたり。それから山のような書類を少しでも片付けさせて、アリスだけ先に休憩に入らせてもらう。
皆の食事を運ぶためでもあったのだが、ナイトメアがまた駄々を捏ねる。
「アリス? 私にだけ仕事をさせて休憩とは、薄情じゃないか?」
それを口八丁...
情熱$袋だったらいいのに……
ナイトメアを布団から引きずり出したり、拘束して薬を飲ませたり。それから山のような書類を少しでも片付けさせて、アリスだけ先に休憩に入らせてもらう。
皆の食事を運ぶためでもあったのだが、ナイトメアがまた駄々を捏ねる。
「アリス? 私にだけ仕事をさせて休憩とは、薄情じゃないか?」
それを口八丁...
雪の降り積もった街を抜けて、クローバーの塔に入っても、コートを脱ぐにはまだ早い。
「さすがアリス。塔まで一直線だったね、ははは」
「塔が見えてるのに迷えるあなたがおかしいの」
冷える廊下と階段を進んで、ようやく暖炉の火に迎えられる。
「ユリウス、エースを連れてきたわ」
仕事熱心な時計...
時間帯が次の夕方になってから、アリスはハートの城をお暇した。この世界では、昼の次に夕方が来るとは限らない。朝も昼も夕も夜も、順番は滅茶苦茶だ。同じ時間帯がずっと続くこともある。
「あら? 今の……」
さっきは双子と会ったところで、数メートル引き返す。
並木の合...
ビバルディの一言が第一の側近を突き放す。
「ホワイト、お前は仕事に戻らぬか」
「そうよ。宰相が仕事をしなくてどうするの?」
アリスも女王に同意してみる。しかし、しぶといウサギはどうあってもこの場に留まりたいらしい。
「なら、僕がアリスとお茶にして、陛下が僕の分の仕事をしてくれればいいんで...
やがて穏やかな風が花の香りを運んできた。鮮やかなピンク色が視界のあちこちでざわめいて、花びらを散らす。桜の木だ。
ハートの城の領地は「春」となっている。「冬」からやってきたアリスには、とても暖かい気候に感じられた。
「気持ちいいわね。桜も綺麗だし」
城下町はいつにも増して賑やかだ。アリス...