自作ドラゴンクエストⅡ~悪霊の神々・56
- カテゴリ: 自作小説
- 2015/09/22 22:06:33
ロランは水を蹴って潜っていった。素潜りもロランは得意だった。泳いでいると、少しだけローレシアが懐かしくなる。
夏になると近海で必ず泳いでいた。ランドやルナと会えない寂しさを、体を動かすことでまぎらわせていたのだ。ふいに甦ったせつなさを、水の冷たさが洗い流していく。
(あれか)
沈没した船は、白...
日々感じたことを書いています。
なんとなく、徒然草。
ロランは水を蹴って潜っていった。素潜りもロランは得意だった。泳いでいると、少しだけローレシアが懐かしくなる。
夏になると近海で必ず泳いでいた。ランドやルナと会えない寂しさを、体を動かすことでまぎらわせていたのだ。ふいに甦ったせつなさを、水の冷たさが洗い流していく。
(あれか)
沈没した船は、白...
港の船はどれも帆船だが、風のない港湾でも自走していた。船尾に魔法力を注いで動く機関が付いており、螺旋状の推進器を動かして進む。
帆を畳んでいても、ゆるい速度ながら自由に走れるので、人が漕がなくても小回りが利き、岸壁に接岸できるのが利点だ。
それらは近年、ルプガナから遠く南東に位置する山岳地帯の...
【沈んだ財宝はいずこ】
ロラン達も同席していることにマーフィーは少しためらったが、テーブルでエレーネに温かいお茶をもらって落ち着くと、少しずつ話し始めた。
「ペルポイへ向かう途中、急に嵐が来たんです。ここから北の沖でした。船は横波に転覆して沈んでしまい……乗組員は半数...
「エレーネはこの秋に結婚を控えておりましてな。魔物が町に入り込むなど滅多になかったので、本当に今回のことは奇跡でした。皆さんが通りがかってくれなかったら、今頃は……」
「ええ……」
エレーネもうなずく。あらためて感謝をこめ、頭を下げた。
「本...
心に何とも言えないひっかき傷を残され、3人がとぼとぼと帰り道を探していると、娘の悲鳴が聞こえてきた。ぼんやりしていた気持ちが、一気に戦闘のそれに切り替わる。
「――やめてください! 私、おじいちゃんの所に帰らなきゃ……放してっ!」
とまどう声に、若い男二人の何かを誘う...