銀の狐 金の蛇 2 しるし(前編)
- カテゴリ: 自作小説
- 2016/12/06 09:34:49
ソムニウスは二十七のとき、黒き衣の導師となった。 十歳にして捧げ子となって寺院に入り、数多の試験を通り、最長老からその名をもらうまでの呼び名は、蒼き衣のチル。もしくはヒュプノウスのチルと呼ばれていた。 すなわち「見習いのチル」、「師ヒュプノウスのものであるチル」という意味である。 「桜宮ノ花散君」...
ソムニウスは二十七のとき、黒き衣の導師となった。 十歳にして捧げ子となって寺院に入り、数多の試験を通り、最長老からその名をもらうまでの呼び名は、蒼き衣のチル。もしくはヒュプノウスのチルと呼ばれていた。 すなわち「見習いのチル」、「師ヒュプノウスのものであるチル」という意味である。 「桜宮ノ花散君」...
一番弟子の出身は北五州。たしか一年の半分以上が雪に覆われる極寒の地だ。それゆえ寒さには強いのだろう。
「この寺院では、掃除用雑巾にも事欠く有様ですが。この温石だけは、たっぷり贅沢が出来ますからね。あ り が た い こ と に」
一番弟子はとても恨めしげに、壁際の三つの袋のひとつから小さな丸...
ハッと目を開けると、暗い岩の天井が迫ってきた。
分厚い岩壁に囲まれた、狭い岩窟。うがたれた丸窓から、暁の光がうっすらさしこんでいる。 四方四面、白みがかった岩壁。岩窟の寺院はみなこのような、岩をくりぬいた部屋から成っている。つまり冬となれば、部屋は氷室のように冷えきって仕方がない。
「なんとい...
文字十万字台、推理もの、という目標でためしにBL18版で書いている横溝せんせえっぽいミステリー推理ものですが、公募用にするために、こちらに改稿版をあげていきます。
改稿版はBLではありません。Rは事件が猟奇っぽいので15ぐらいです。主人公の相方は試験的に女の子になっています。
テーマは第一に親子。そ...
こうして。
赤毛の少女は去っていきました。
人間たちとウサギと、なんとか息を吹き返した狼と。そして促進剤を乗せたポチ七号はなんと大きな鳥型に変じて、空に舞い上がったのです。ぼろぼろの鉄の竜だけが、私たちのすそ野に残されました。
その出来事はまるで春の嵐のようで、あっという間のことでした。
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