自作10月 笛 『草笛』 中編
- カテゴリ: 自作小説
- 2016/10/31 21:35:47
哀れな王子は大神官の掌中。 教育係である大神官は、王にはしっかり王子を教育していると報告しながら、王子を無知で役立たずで、おのれに従順であるように育てあげた。 その周到な計画がついに結実しようとしている。 塔にはさらに二人のスメルニア派貴族がやってきている。 国境をつなぐ橋が完成すれば、橋を渡って...
哀れな王子は大神官の掌中。 教育係である大神官は、王にはしっかり王子を教育していると報告しながら、王子を無知で役立たずで、おのれに従順であるように育てあげた。 その周到な計画がついに結実しようとしている。 塔にはさらに二人のスメルニア派貴族がやってきている。 国境をつなぐ橋が完成すれば、橋を渡って...
ぴーっ。 ぴーっ。
銀髪の小さな子が、しきりに草笛を吹いている。 風吹きぬける谷の上。天突く塔が建つふもとの、緑の草地にぽてんと座って。
ぴーっ。 ぴぴーっ。
ほっぺたをふくらませ、顔を真っ赤にして吹いている。
ぴーっ。 ぴぷっ。
息を入れすぎてつま...
『ロッテ! 接触バリアがもたない!! 下の熱玉が熱すぎる!』「りっ……離脱! 離脱だミッくん! 頭上の敵が一掃された!」『了解!』
「う……うあああああああああ!!」
背中が焼ける……。 すさまじい熱と光を放...
僕が生まれて初めて目にしたもの。 それはきらきら輝く、黄金《オーロ》の光――。
廷臣や親衛隊の騎士たちは、普通の人間は、生まれた時のことなどそうそう覚えておりません、と言う。 人間は、赤子という形でこの世に生まれる。 その赤子はとても弱弱しく、一人で歩くことも食べることもできず、記憶など容易に蓄積...
「ぐぬぬぬぬぬ! 何にも見えんー!」『ろ、ロッテ、あと三十秒で結界が切れる。君を射出するから機霊機を外して退避してくれ』「何言ってんだミッくん! そうしたくても動けないって! 光弾の弾幕が激しすぎるっ……」
――『芭蕉扇(バージャオ・シャン)!』
「な!? 何だ今の、横一...