自作9月 かげろう・風 「怨風の谷」1
- カテゴリ: 自作小説
- 2016/09/23 17:31:31
風が吹く。 びゅおうびゅおうと、谷間におどろおどろしく吹きぬける。 深き地割れが無理やり押し広がったような大峡谷。 眼下に見えるは、清き流れの銀の筋。 杖突く老人がひとり、あたかも舞台のごときにせりだした岩の上に登る。 耳を澄ませているのか、じっと谷底をみやるその双眸は、まばた...
風が吹く。 びゅおうびゅおうと、谷間におどろおどろしく吹きぬける。 深き地割れが無理やり押し広がったような大峡谷。 眼下に見えるは、清き流れの銀の筋。 杖突く老人がひとり、あたかも舞台のごときにせりだした岩の上に登る。 耳を澄ませているのか、じっと谷底をみやるその双眸は、まばた...
「お?」 すぐ隣を今まさに追い抜いていこうとしてるメケメケ。 そこから聞こえるこの声は。「め……メイ姉さん?!」 こ、これぞ天の助け! みどりの黒髪をなびかせる、うるわしきメガネ女史! メイ姉さんが運転してるメケメケは、ショージが勤めてる会社の最新モデル。 ばりっばりの新...
『なんだと……! わかった任せろ!!』 ろ、ロッテさん、なんだかんだいってミッくんを使いこなしてる? それともやけくそ? イケメンミッくん、大奮起。即座に周囲に結界を張ってくれた。 うっすら赤みを帯びた美しい光の膜が、俺たちを包む。 通りで伸びてる発掘屋の二人組も。道行...
まぶしい。 あたり一面、光の渦だ。 俺はプジを抱えて通りに飛び出しながら、店がふっ飛ぶんじゃないかって心配だった。 銀髪のアムルは、天使。それも超強力な機霊を持つ奴。 そのことは、始めっから把握してた。 大穴から家にこっそり運び込んだとき、じっちゃんはことさら難しい顔をしたもんだ。『テルよ、うまい...
直後。「ごめんっ!」 赤毛少年は苦悩の呻きを上げ、作業台から降りてテルとネコに土下座した。 代理騎士に選ばれていれば、ツケも借金も一切合財支払えたはずだとぶうぶう言う。 みるみるがっくり肩を落とすテル。ぷがぷが怒り出すハゲネコ。 つまり僕がこいつを雇っていれば、大団円になる展開だったらしい。『男...