モンスターハンター 騎士の証明~125
- カテゴリ: 自作小説
- 2014/03/11 13:45:01
【天空の王者】
大地の咆哮が黒煙の螺旋となって天空と繋がる。
煌黒龍の死を呑みこんだ火の山が流すのは灼熱の涙だろうか。
「――わたしが行きます!」
ごうごうと吹き荒れる黒い嵐の中、気流にもまれる飛行船の甲板の上に毅然とした娘の声が響いて、ブルースとボルトはぎょっとした。
トゥルーの声でも、...
日々感じたことを書いています。
なんとなく、徒然草。
【天空の王者】
大地の咆哮が黒煙の螺旋となって天空と繋がる。
煌黒龍の死を呑みこんだ火の山が流すのは灼熱の涙だろうか。
「――わたしが行きます!」
ごうごうと吹き荒れる黒い嵐の中、気流にもまれる飛行船の甲板の上に毅然とした娘の声が響いて、ブルースとボルトはぎょっとした。
トゥルーの声でも、...
【森丘(もりおか)にて】
風が渡っていく。
見渡せば胸のすくような濃い青空。彼方にはうっすらと雪を抱いた山脈が峰を連ね、大きな湖が昼の日差しを受けてきらきらと輝いていた。
初夏を迎えた草花は、みずみずしく柔らかで、穏やかな風を受けるたびに、喜ばしそうに身をゆだねていた。
深い森と丘陵が絶妙...
【抜かずの剣】
ばかな、と保守派の貴族の一人がリトルを睨んだ。
たかが狩猟組合ふぜいが、なぜ高貴な身分の者にまで口出しできるのか、と。
リトルは穏やかにその問いに答えた。
――先ほどの説明にもあったように、経済力というものは、権力よりも強いものです。貴公のように、身分を持たないギルドを王族...
【十年の軛(くびき)】
穏やかな朝の日差しが、大きな格子窓から差し込んでいる。
エルドラ国大将軍ジル・ハドウルフは、きっちりと襟もとで留めた金の飾りに何気なく触れながら、窓辺に立って中庭を眺めていた。
「将軍、こちらへおいででしたか。もうすぐ式典が始まりますよ」
軽いノックのあとで扉が開き、...
【英雄の帰還・承前】
息を呑んだユッカに、ギルドマスターは語った。
かつてロジャーは、手ひどい人間の裏切りを見た。ユッカが彼自身から聞かされた、下位イャンクックの虐待事件がきっかけだと老人は言った。
――あれが根深くロジャーの心に憎しみを植えつけてしまった。窮地を救い、犯罪者を裁いたティオに...