Nicotto Town


ま、お茶でもどうぞ


日々感じたことを書いています。
なんとなく、徒然草。

モンスターハンター  騎士の証明~125

【天空の王者】

 大地の咆哮が黒煙の螺旋となって天空と繋がる。
 煌黒龍の死を呑みこんだ火の山が流すのは灼熱の涙だろうか。
「――わたしが行きます!」
 ごうごうと吹き荒れる黒い嵐の中、気流にもまれる飛行船の甲板の上に毅然とした娘の声が響いて、ブルースとボルトはぎょっとした。
 トゥルーの声でも、...

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モンスターハンター  騎士の証明~124

【森丘(もりおか)にて】

 風が渡っていく。
 見渡せば胸のすくような濃い青空。彼方にはうっすらと雪を抱いた山脈が峰を連ね、大きな湖が昼の日差しを受けてきらきらと輝いていた。
 初夏を迎えた草花は、みずみずしく柔らかで、穏やかな風を受けるたびに、喜ばしそうに身をゆだねていた。
 深い森と丘陵が絶妙...

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モンスターハンター  騎士の証明~123

【抜かずの剣】

 ばかな、と保守派の貴族の一人がリトルを睨んだ。
 たかが狩猟組合ふぜいが、なぜ高貴な身分の者にまで口出しできるのか、と。
 リトルは穏やかにその問いに答えた。
 ――先ほどの説明にもあったように、経済力というものは、権力よりも強いものです。貴公のように、身分を持たないギルドを王族...

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モンスターハンター  騎士の証明~122

【十年の軛(くびき)】

 穏やかな朝の日差しが、大きな格子窓から差し込んでいる。
 エルドラ国大将軍ジル・ハドウルフは、きっちりと襟もとで留めた金の飾りに何気なく触れながら、窓辺に立って中庭を眺めていた。
「将軍、こちらへおいででしたか。もうすぐ式典が始まりますよ」
 軽いノックのあとで扉が開き、...

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モンスターハンター  騎士の証明~121

【英雄の帰還・承前】

 息を呑んだユッカに、ギルドマスターは語った。
 かつてロジャーは、手ひどい人間の裏切りを見た。ユッカが彼自身から聞かされた、下位イャンクックの虐待事件がきっかけだと老人は言った。
 ――あれが根深くロジャーの心に憎しみを植えつけてしまった。窮地を救い、犯罪者を裁いたティオに...

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