モンスターハンター 騎士の証明~115
- カテゴリ: 自作小説
- 2014/01/10 11:04:58
【ヒトの証】
足場を踏みしめたその先で、がくんと膝が折れる。左の足首が鈍く痛かった。腱は無事なようだが、身体がもう立つなと言っていた。
それでもロジャーは、空中に支えを求めるかのように懸命に両手を振り、バランスを保った。背中の双剣を杖にする愚は犯さない。刃こぼれしてしまっては、強固な鱗を斬りつ...
日々感じたことを書いています。
なんとなく、徒然草。
【ヒトの証】
足場を踏みしめたその先で、がくんと膝が折れる。左の足首が鈍く痛かった。腱は無事なようだが、身体がもう立つなと言っていた。
それでもロジャーは、空中に支えを求めるかのように懸命に両手を振り、バランスを保った。背中の双剣を杖にする愚は犯さない。刃こぼれしてしまっては、強固な鱗を斬りつ...
【万事休す】
アルバトリオンは強く羽ばたくと、全身に雷光をみなぎらせて滑空してきた。もう幾度となく見たパターンだ。それでも決して恐れが消えることはない。まともに当たれば、確実に命を失うのだ。
(何か方法はないのか?! あれの動きを止める、何かは?)
懸命に避けながら、ロジャーは周囲を見渡す。頻...
【双刃は翼となりて】
元ガル国王が崩御する、数十分前に時間はさかのぼる。
煌黒龍が空中から氷塊をまき散らした時間は、およそ数分あまり。
だが、必死に逃げ惑っていたロジャー達にとっては、永遠にも等しい長さであった。
ひとしきり氷柱を生み出すと、煌黒龍アルバトリオンは3人から離れた場所へ悠然と...
【暴君の最後】
「あ……」
少女は、自分がしたことを信じられないでいるようだった。しなやかな細い五指を可憐な口元に当て、わななきながら床を這う王を見つめる。
「ミハル! 無礼であるぞ! 陛下に向かってなんということを――!」
「も……申し訳...
【断罪】
「粛清、だと? 国主に向かって、その言葉は不当であろう!」
宰相の恫喝に、眠っていた王が目を覚ました。病んだ弱々しいまなざしを向け、宰相に問う。
「アラム……何事だ。騒々しい」
「陛下、狼藉者です。すぐに近衛を呼びますゆえ、どうかご安心を」
「――なんと&h...