自作ドラゴンクエストⅡ~悪霊の神々・194
- カテゴリ: 自作小説
- 2016/07/14 23:29:06
【バズズ】
「よぉおおこそ」
嫌らしい笑みを満面に、紫色の猿魔が迎え出た。
悪霊の神々の一柱――狡猾の主、バズズである。
5階は、左右に壁と柱が断続的に並ぶ吹き抜けの回廊だった。バズズの背後に、双塔へつながる階段室が見える。
風が出始めていた。まわりは一面の白。太陽は雲に隠れ、雪が舞ってい...
日々感じたことを書いています。
なんとなく、徒然草。
【バズズ】
「よぉおおこそ」
嫌らしい笑みを満面に、紫色の猿魔が迎え出た。
悪霊の神々の一柱――狡猾の主、バズズである。
5階は、左右に壁と柱が断続的に並ぶ吹き抜けの回廊だった。バズズの背後に、双塔へつながる階段室が見える。
風が出始めていた。まわりは一面の白。太陽は雲に隠れ、雪が舞ってい...
刃はアトラスの足の甲を割った。鮮血が噴き、ロランの顔と胸元に飛び散る。アトラスが吼え、傷つけられた足を振り上げた。
「くうっ!」
剣を手放すわけにはいかない。柄を握ったロランは乱暴に振り回された。稲妻の形をした刃はアトラスの肉に食いこみ、どんなに振り回されても抜けない。
「グオオッ!!」
さん...
【アトラス】
教壇の奥には、上階へ通じると思われる巨大な部屋があった。しかし、教壇の真後ろから部屋の外周にかけて、強力な結界が青白い光を放っている。部屋の内部は堅牢な壁に囲まれていて、見ることはできない。
ランドがトラマナの呪文をかけ、結界を通れるようにした。電光が走る光の壁に踏みこむと、すぐに...
「我が幻術が破られたか……」
幾千の蛇身が融合してできた十字架の前で、邪神官ハーゴンはつぶやいた。聖堂に据えられたかがり火が微かに揺らめいている。合わせて揺れるハーゴンの影よりもっと暗い影が、後ろに三体控えていた。
アトラス、バズズ、ベリアルの影である。
「精霊ルビス...
精霊ルビスの名を胸で唱えると、どこからともなく声が聞こえた。
――今あなたが見ているのは、ハーゴンが作ったまやかしです。さあ、心の目を開き、すべてを見るのです……!
ロランの目の前が真っ白な光に覆われていく。潮が引くような音とともに、暖かな空気が去り、凍てつく寒さが...