モンスターハンター 騎士の証明~100
- カテゴリ: 自作小説
- 2013/10/03 02:00:30
【煉獄の中で、人はあらがう】
「……父上」
ひっそりと静まり返った館の一室。ジルは目の前の男に対して、冷淡といえる声を放った。
「今頃、何をしに戻られたのですか」
髑髏を模した兜を脱ぎ、素顔をあらわにしたガレンは、傷ついたように息子を見つめた。
「すべてを終わらせる...
日々感じたことを書いています。
なんとなく、徒然草。
【煉獄の中で、人はあらがう】
「……父上」
ひっそりと静まり返った館の一室。ジルは目の前の男に対して、冷淡といえる声を放った。
「今頃、何をしに戻られたのですか」
髑髏を模した兜を脱ぎ、素顔をあらわにしたガレンは、傷ついたように息子を見つめた。
「すべてを終わらせる...
【逃走、敗走、そして崩落】
「ロジャー隊長!」
黒々とした地面に倒れて動かない赤い影を見て、ブルースは兜のバイザーを上げて叫んだ。
どろどろと煮えたぎるマグマの音に声がかき消される。熱気を吸い込み、ブルースは激しくむせながら、なおも叫んだ。
「隊長、起きてください!」
だめだ、動かない。ロジ...
【終末の鐘】
そは何物にも似ず
波濤のごとき鱗、逆巻き天を仰ぐ黑き角
暗黒の翼打ち羽ばたきて
見よ、そは飛び立たん
世の理を穢すために
「離れろっ――!」
そう叫ぶのがやっとだった。ロジャーは立っていた場所から全力で跳んでいた。ボルトとブルースも各自散開する。そこへ、翼を広げた黒い巨...
【紅い月】
屋敷が軽く揺れたのを覚え、エルドラ国将軍ジルは、不吉さを感じて窓際に歩み寄った。太陽が西の地平線に沈み、空には星が瞬き始めている。
穏やかな天空とは裏腹に、エルドラの城下町は不気味に静まり返っていた。
「最近よく揺れる……」
ジルは街を見下ろしてつぶや...
【災禍の庭】
「くっ!」
トゥルーが舵を切り、船体が大きく傾いた。またしてもロジャー達は床を転がり、頭などを壁にぶつける。
「すげえ、なんだありゃあ……」
かろうじて火柱を免れ、飛行船は体勢を持ち直した。起き上がったボルトが、兜越しに頭をさすりながら外を見る。こちら...