アスパシオンの弟子 84 分霊(後編)
- カテゴリ: 自作小説
- 2016/02/12 16:57:03
一本完全に崩れた円柱のそばで伸びる三人の魔人。その中のひとりである俺は、呆然とメニスの王に対峙するウサギ頭の我が師を見つめた。その右手はいまや光を収束させてまばゆく輝いている。 こおっ、こおっとなんとも不可思議な響きがそこから聞こえる。精霊の息吹だ。アイテリオンがほう、と声をあげている。「これは...
一本完全に崩れた円柱のそばで伸びる三人の魔人。その中のひとりである俺は、呆然とメニスの王に対峙するウサギ頭の我が師を見つめた。その右手はいまや光を収束させてまばゆく輝いている。 こおっ、こおっとなんとも不可思議な響きがそこから聞こえる。精霊の息吹だ。アイテリオンがほう、と声をあげている。「これは...
「あなたは魔人ではないと思いますが? それにぺぺさんと名乗りましたがそうではありませんね? アスパシオンのペペは時の泉に封印されていますから、あなたは全くの別人でしょう?」
アイテリオンがピンクのウサギ頭の変態を前にして、すん……ごく嫌そうな顔で眉をひそめている。
...
目を開けなさい 私のいとしい子 白き花咲く野辺であなたは見るの うつくしいものが飛ぶのを 風はおどり 大地はふるえ 水はさざめき そして炎は野辺を焼くでしょう
でもあなたは輝き 燃えずに輝き うつくしいものは囁くでしょう
わが主
そして...
そんな自分にいらつきやさぐれて、俺は「僕」から「俺」になった。
すっかり嫌われたと思ってたのに。
二十年後、アイダさんのお葬式にこそっと参列したら、俺宛ての遺言状を街の介護課の役人から渡された。
あの文面。いまだに一言一句覚えてる。
『ピピ様。あなたを傷つけてしまったこと、今でも大変申し訳な...
『ピピ。ピピちゃん……』
ちょっと。そんなにぎゅうぎゅう抱きしめないでよアイダさん。
『ああほんと、毛ざわり最高っ』
いくらモフモフの獣が大好きだからって、俺をウサギにして夜通し抱っこで就寝とかさぁ。これじゃどこかの師匠と変わらないよ。ていうか、我が師よりもべっ...