モンスターハンター 騎士の証明~90
- カテゴリ: 自作小説
- 2013/08/09 12:19:40
【遺して往く、想いは・3】
「どうかちたんでしゅか?」
談話室の入り口で、ひょこっと小さな顔がのぞいた。ボルトはぎょっとして、慌ててごつい顔に笑みをつくる。
「ア、アンデルセン! なんでもないのよ、へーきへーき。……おら、ブルース、出るぞ!」
さすがにアンデルセンに...
日々感じたことを書いています。
なんとなく、徒然草。
【遺して往く、想いは・3】
「どうかちたんでしゅか?」
談話室の入り口で、ひょこっと小さな顔がのぞいた。ボルトはぎょっとして、慌ててごつい顔に笑みをつくる。
「ア、アンデルセン! なんでもないのよ、へーきへーき。……おら、ブルース、出るぞ!」
さすがにアンデルセンに...
【遺して往く、想いは・2】
「アンデルセン、おいちいかい?」
「あい!」
窓から入ってくる日差しは、砂漠の地とは思えぬほど柔らかい。患者がリラックスできるように、観葉植物の配置まであらゆる配慮がなされているそこは、ハンターズギルドが運営する医療施設だった。
その談話室で、大男と愛らしい白いアイ...
【遺して往(ゆ)く、想いは・1】
アルバトリオンにまつわる伝承の類は一切ない。それだけ人類の歴史において目撃数が少ないことの表れであり、姿を見て生きて帰ってきたものもまた、ごくわずかだからである。
逆巻く鱗に覆われた姿は闇のようであり、また光のようであると、大昔の書士隊の手記は語る。
ある古...
【アルバトリオン】
何かが存在する、とギルドマスターが断言しても、誰も異を唱えなかった。それは、この世界に生きる者の常識として頭に染みついているからだ。
モンスター。大自然の具現者ともいえる彼らは、時に、人知を超えた力で自然現象をも操る。
たとえば、南方の火山帯に暮らす火の国の一族は、常に活...
【新たな胎動】
「ふうむ……なるほどねぇ」
ロックラックギルド本部。街のにぎわいもやや治まりを見せた深夜、ギルドマスターの老人は執務机の上で足をぶらぶらさせながら、ロジャー達を前に報告書の束を読んでいた。
「好しと悪しが半々、てところですねぇ」
ロジャーをはじめ、ボ...