青い薔薇の魔法 (1)
- カテゴリ: 自作小説
- 2019/05/24 23:40:01
きらめく湖水が足もとに寄せてくる。 まっ正面から吹いてくるのは、くるくる踊る、生暖かい風。 「上も青。下も青」 目をこらして、岸辺に立つ子はそうつぶやいた。 踊る風の向こうにある、晴れわたった空と、目の前に広がる湖の境目を、じっと見つめながら。 それから、自分が羽...
きらめく湖水が足もとに寄せてくる。 まっ正面から吹いてくるのは、くるくる踊る、生暖かい風。 「上も青。下も青」 目をこらして、岸辺に立つ子はそうつぶやいた。 踊る風の向こうにある、晴れわたった空と、目の前に広がる湖の境目を、じっと見つめながら。 それから、自分が羽...
内臓が飛び出るかのような衝撃。ぐしゃりと、体が宮殿の白壁に叩きつけられる。 危なかった。腕時計のボタンをとっさに押さなかったら、全身の骨が砕けているところだ。 ついこの前、ウサギの技師からもらった腕時計は、強固な物理結界を展開する優れもの。もらった...
扉を開けたら、そこは雪国――ではなかった。 「今年は全然、雪が降らなくて」 異常気象とか暖冬だとか。そんな言葉が緑の芝生にたむろする人たちから、ちらほら。宮殿の光熱費が激減してウハウハだが、という声も聞こえてくる。紺のお仕着せを着たあの集団は、王宮の経理部に勤めている文官たちなのだろう。...
「うん。それで最後にここを頼ってくれたわけだ。ありがとうな」
俺は卓につっぷす赤毛男の肩をばしばし叩いた。
カーリンは、めちゃかわいくて真面目ないい子だ。 あのこわい蛇の王妃様ですら、えらくあの子を気に入っている。「わらわの養女にしたい」って、この前言ってたぐらいである。 でも。たとえカーリン...
(今回は、ウサギ技師視点のお話です)
雪がどっかり降り積もったその日。塔の扉の外に変なものが居るって、ワカタケちゃんが教えにきた。
ワカタケちゃんていうのは、若竹色のスカートをはいてる赤毛っ子で、この塔の「子宮」でだいたい五十番目ぐらいに生まれた人工妖精だ。
妖精と言っちゃったけど、実のとこ...