自作ドラゴンクエストⅡ~悪霊の神々・189
- カテゴリ: 自作小説
- 2016/07/02 11:15:50
「おお、ここにおられましたか、ロラン王子!」
若き近衛兵長のシルクスがロランを見つけて足早にやってきた。見知った顔にほっとして、ロランはシルクスに問いかけた。
「シルクス、僕はどうやってここに来たんだ?」
シルクスは端正な顔をきょとんとさせた。
「何をおっしゃいます。歩いてここまでお戻りになら...
日々感じたことを書いています。
なんとなく、徒然草。
「おお、ここにおられましたか、ロラン王子!」
若き近衛兵長のシルクスがロランを見つけて足早にやってきた。見知った顔にほっとして、ロランはシルクスに問いかけた。
「シルクス、僕はどうやってここに来たんだ?」
シルクスは端正な顔をきょとんとさせた。
「何をおっしゃいます。歩いてここまでお戻りになら...
第5章 悪霊の神々
【やすらぎの城】
ハーゴンの神殿を目指して、ロラン達は雪に覆われた大森林を西へ歩いた。
道すがら、ルナがロランとランドに話した。元はベラヌールで大神官の地位に上りつめたハーゴンが、いかに邪神官になり、邪教を広めていったかを。
「この世界が無力化している…&h...
【手をつないで】
(真っ暗だ……)
ぼんやりとロランは暗闇にたゆたっていた。
胸の重苦しさは消え、 とても安らいでいた。自分へ向けた怒りや憎しみは、遠い過去のものとして胸に納まっている。
ずっと握りしめていた骨の感触がない。無数の人骨で作られた呪いの剣は、右手から...
「ロラン、立てる?」
ランドがアークデーモンと渡り合っている間に、ルナがロランを助け起こそうとした。ロランは弱くかぶりを振った。
「力が入らないんだ……。動けない」
「剣の呪いのせいね。待ってて。今、薬を……」
ルナの背後で断末魔が響く。ラ...
「――いい声だ」
嗤いを含む、くぐもった声がした。ロランは弾かれたように顔を上げ、その場に身構える。
めきめきと灌木や木々を薙ぎ倒しながら、紫色の牛頭の悪魔がこちらへ歩んできた。アークデーモンである。
「これは美味そうな子どもだ。……泣いている子どもは好物でな。絶望し...