モンスターハンター 騎士の証明~46
- カテゴリ: 自作小説
- 2012/12/17 08:27:06
【騎士であること】
「隊長、ご無事で――」
縄梯子を昇って甲板に下り立ったロジャーにブルースが声をかけた瞬間、ロジャーは肩から前のめりに倒れた。
「先輩ッ!」
とっさに手を伸ばし、ブルースはロジャーの上体を支えた。ロジャーは意識を失っていた。
「担架を! 早く!」
駆けつけた甲冑姿のガーディ...
日々感じたことを書いています。
なんとなく、徒然草。
【騎士であること】
「隊長、ご無事で――」
縄梯子を昇って甲板に下り立ったロジャーにブルースが声をかけた瞬間、ロジャーは肩から前のめりに倒れた。
「先輩ッ!」
とっさに手を伸ばし、ブルースはロジャーの上体を支えた。ロジャーは意識を失っていた。
「担架を! 早く!」
駆けつけた甲冑姿のガーディ...
【夜明けの月】
顔のすぐ脇に、巨大な足があった。九死に一生を得て、ロジャーは詰めていた息をどっと吐き出した。イビルジョーが地面に下り立つ寸前、とっさに全身を反転させてしのいだのだ。
真上には巨大な腹が息づいている。獲物を見失い、長い首が宙を見回していた。
ロジャーは仰向けの姿勢から弾かれたよ...
【命の意義】
「民はみな、城へと避難したか」
「はっ。城内に入りきらない者達は、やむをえず、庭園に天幕を張ってしのがせております」
「何か温かいものでもふるまってやってくれ。すべての者にいきわたるようにな」
「急ぎ、そのようにいたします」
玉座に腰かけた老王と宰相のやりとりを、傍らでジルは定める...
【騎士の枷(かせ)】
赤い気が宿った刃がイビルジョーの真正面を鋭く裂き、下顎から突きだした牙の数本が砕ける。モンスターは悲鳴をあげた。怯んだその鼻先に、なおもロジャーは切っ先を突き立てた。顔面から吹き出る龍気が手甲を通して肌を焼いたが、構わず剣を押し進める。
ゴォオオ!
黒くけぶる...
【邪悪な顎】
「みな、城へ急げ! だが慌てず、前の者を押しのけるようなことはするな。歩ける者は、歩けぬ者を助けてやってくれ!」
王城へ列を作って歩む市民を励まし続けながら、ジルは馬上で閉ざされた街門を振り返った。今も勇敢な赤い騎士は、たったひとりで強大なモンスターと対峙しているのだ。
しかし民...