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Sian

アスパシオンの弟子57 ツルギ島(前編)

 ふしゅうと噴き出す蒸気。ガラガラ回る歯車。リンゴロンと鳴り響く、時を知らせる鐘の音――。 「おじいちゃん」と赤毛人たちが住む塔は、表面はびっしり木や草に覆われているのですが、内部はとても機械的な音に満ちていました。そこかしこ、金属の壁や管や歯車だらけです。  しかし上の方の階には、赤毛人たち...

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アスパシオンの弟子56 鉄の獅子(後編)

 びゅんびゅん風切る獅子に乗る双子の姉妹。と、尻尾にしがみつく僕。  蒼かった空がほのかに橙色に染まるぐらい、獅子は木々の間をかけ続けました。恐ろしく速いので、相当な距離を走ったでしょう。  鉄の獅子の尻尾の先は鋭い棘になので、彼女達の根城に着くまでに僕はあちこち血まみれ。って、その前からかなり血...

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アスパシオンの弟子56 鉄の獅子(前編)

 表紙が取れかけた革の本。その著者が、「アスパシオンの弟子」?  基本、導師の名前にひとつとて同じものは存在しないはず。  導師の名前は俗世間では使われることのない神聖語で、最長老によって慎重に名づけられるものです。  同じ名前を使う時は師の名を継ぐことが多く、二世、三世とあとに付けら...

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7月自作/砥石 『開けるな危険』(後編)

 かくしてどろどろの塩漬け魚にまみれた青年は、折れた剣を抱いて野営地から逃げ出した。  とにかく臭いので、敵兵たちはみな臭素爆弾だと思い込んで怯み、すっかり逃げ腰。その隙をついて味方の兵士たちは森の中へ。いや、味方もあまりの臭さにほうほうの体で逃げ出したのだった。  青年自身もひいひい言いなが...

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7月自作/砥石 『開けるな危険』 (中編)

 翌日。天の機嫌は悪くなり、夕刻まで豪雨が降り続いた。  街道をわざと避けて行軍していた軍は、たちまち速度を奪われた。草地は豪雨でぬかるみ、泥炭層の土は荷車の足を呑みこんだゆえに。  軍隊は日没までには丈高く防壁を築いた砦に入れるはずだったが、道程の半分ほどしか進めなかった。  司令官は仕方な...

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