自作ドラゴンクエストⅡ~悪霊の神々・179
- カテゴリ: 自作小説
- 2016/05/16 23:28:29
夜明けになってから、ロランはルナと山を下りた。空は寒々と曇っている。
山といっても、乾いた土と岩、そして凍った雪ばかりの山塊だ。疲労が極まっているルナは、何度も下り道で足を取られていたが、ロランにはほとんど気遣う余裕がなかった。
左手にはロトの盾を通し、その腕と肩でラン...
日々感じたことを書いています。
なんとなく、徒然草。
夜明けになってから、ロランはルナと山を下りた。空は寒々と曇っている。
山といっても、乾いた土と岩、そして凍った雪ばかりの山塊だ。疲労が極まっているルナは、何度も下り道で足を取られていたが、ロランにはほとんど気遣う余裕がなかった。
左手にはロトの盾を通し、その腕と肩でラン...
日が落ちた。だが、ロランは淡々とした歩みをやめない。空は丸い月が克明に浮き上がっていた。ルナは何度も視界がぼやけ、意識を失いそうになった。でもロランを見失うわけにはいかなかった。気力を振りしぼって歩き続ける。
ランドを抱えたロランは、進む方角を誤っていた。正面に見えていた湖へ向かわず、西へ行こう...
【持たざる者】
静かだった。
真っ白い天から、雪がはらはらと落ちてくる。怖いほど音がなかった。
押し迫る光芒に、気を失っていたらしい。ロランはうつ伏せていた雪から顔を上げた。すぐ目の前に、橙色のマントがかすかな風に裾をはためかせている。
「ランド……?」
うつろな...
【献身】
(ここまでか……。僕の力だけでは、もう……)
「――させないっ!」
ロランの目の前が暗くなりかけた時、まだ少年らしさの残る声が鋭く響き渡った。
さかしまにアークデーモンの手にぶら下げられていたランドだ。腰に下げているはやぶさの剣...
「危ない!」
ルナが叫んだ。またイオナズンが来るとロランも察し、素早くアークデーモンの肩を蹴って離れる。そこへ、ギガンテスが棍棒を振り上げて乱入してきた。構わずアークデーモンは呪文を唱える。大爆発がギガンテスも巻き込んで炸裂した。
「――っ!」
爆発の余波はたやすく避けきれるものではなく、ロラン...