アスパシオンの弟子⑳ 常若の少女(前編)
- カテゴリ: 自作小説
- 2014/09/23 20:10:23
兄弟子様の懐でぬくぬくうとうとしているうちに、朝になりました。 眠りから覚めても、鳥たちの群れはまだ枝にずらりと止まっています。 僕は兄弟子様を齧ったり蹴ったりしてなんとか起こしました。目を開けるなり兄弟子様は、 「うわ? なにこれ!」 いまさらのようにびっくりなさり。わたわたと木の幹の裏...
兄弟子様の懐でぬくぬくうとうとしているうちに、朝になりました。 眠りから覚めても、鳥たちの群れはまだ枝にずらりと止まっています。 僕は兄弟子様を齧ったり蹴ったりしてなんとか起こしました。目を開けるなり兄弟子様は、 「うわ? なにこれ!」 いまさらのようにびっくりなさり。わたわたと木の幹の裏...
「怒らないで。お庭の果物を食べさせてあげるから」 ベッツィことルチア・エリザベス・バルコムは、屈託なく笑った。全く悪気のない顔で。 この子は皇帝陛下に初めて拝謁した時、自分はフランス語が話せるのだと、面と向かって自慢したそうだ。乳母がフランス人だったらしい。 陛下は大喜びで、それでここにしば...
マダム・カファレッリへ 1815年10月21日 親愛なるマダム、皇帝陛下と我々は、10月17日にセント・ヘレナ島に到着しました。 英国の軍艦が三ヶ月かけて、我々をアフリカ大陸沖の孤島へと運びました。 ワーテルローの丘で英独軍と対峙しました時。こんな地の果...
大きな翼をはばたかせ。すらりとした白い首を持つ巨大な鳥は、ものすごい速さで岩山をぐんぐん飛び越えていきます。 次第に青空がほんのり色づいてきます。太陽が傾いているのです。 あれ……? 左手の方に沈んでいる? 「ちょっと兄弟子様、北五州は南東です! なんで北に向かっ...
最長老様の死を悟った兄弟子様の顔に、僕は一瞬恐怖を覚えました。 笑っているのです。まるで気が狂ったかのように。悪魔のように。 「最長老が天寿を全うすることは、まずない」 推測だが、と断りを入れて。兄弟子様は、歴代の最長老はみな殺されていると仰いました。 「しかしレクサリオンは、天罰をくらったな...