アスパシオンの弟子⑱世捨て人(後編)
- カテゴリ: 自作小説
- 2014/09/10 17:56:17
「ひと仕事終えたあとの酒はうまいっ」 髭ぼうぼうの人は、空気袋に仕込んだお酒をがぶがぶ飲み。ぷはーと息を吐きました。見れば顔はみるみる真っ赤。 すっかりできあがった人は、とても上機嫌にいろんな話をしてくれました。 お酒の造り方とか。服の編み方とか。 それから、「おおそうだ」と、目を輝かせて。ぽんと手...
「ひと仕事終えたあとの酒はうまいっ」 髭ぼうぼうの人は、空気袋に仕込んだお酒をがぶがぶ飲み。ぷはーと息を吐きました。見れば顔はみるみる真っ赤。 すっかりできあがった人は、とても上機嫌にいろんな話をしてくれました。 お酒の造り方とか。服の編み方とか。 それから、「おおそうだ」と、目を輝かせて。ぽんと手...
ぼろぼろの黒衣を着たその人は、僕を連れて鍾乳洞の奥へ奥へと進んでいきました。 寺院の地下に広がる鍾乳洞は、なんと広大なのでしょう。僕が少し前に罰を受けてさまよった草地や滝のある所とは、全く別の方面に向かっているようです。 周囲の様子に目を見張りながら、僕はついていきました。大きな水...
そのまっ白い巨大な鷹は、最長老様の顔めがけていきなり突っ込んできました。 寺院の長は目をくわっと開き、すかさず防御の結界を唱えたものの。相手のあまりの素早さに、その韻律の声は、途中で途切れてしまいました。 最長老様は床に押し倒されながら、するどいくちばしで目を突かれ。頭をしたたかに打ちつけら...
僕は寺院の一階の回廊を駆け抜けて。らせんの石階段をびゅんびゅん登りました。あわてて追いかけてくるレストは、はるか後方。追いつかれる心配はなさそうです。 ウサギの脚力のすごいこと。二段抜かしどころか、三段四段、あっというまに飛び越えていけます。 最長老様の居室は、寺院の最上階。薄暗い廊下に執務室...
その日は、寝苦しい夜になりました。暑気がきつく、病み上がりの僕はぐったり。 「異常気象ですね……」 ヒアキントス様もあまりの暑さに閉口されたのか、白く輝く冷気の球を作り、寝台の枕元に浮かべました。 ひんやりした冷気が、銀の鳥かごの方まで漂ってきます。 ああこれでな...