車の運転は好きじゃない。
ましてこんな雨の日の山道。
舗装されてはいるが幅は狭い。
にょろりとのたうつ蛇のような道路。
視界は悪い。
夕方だと言うのに夜ほど暗く、風で葉の塊がうぞうぞしている。
山になど、入らなければ良かった。
しかし親の危篤だ。わがままは言えない。
一刻も早く帰らなければ。
早く...

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潮時と言うのは一体いつ頃なんだろうか。
肉のアク取りしながらふと考える。
義也と付き合ってかれこれ二年。
互いに良い所も悪い所も見せ合った。
酷い喧嘩もしたし、別れ話が出た事もあった。
思い返すと、潮時はとっくに過ぎさったように感じられる。
では今この時期はなんなのだろうか。
ただの未練か執着か。
...

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お題「衣替え」　副題「勿体無い」



「兄ー」
衣替えをすると言って
朝から収納ケースをひっくり返していた妹の声が聞こえる。
めんどい。
聞こえないフリをしようかと思ったが
後から小言を山盛りごちそうになるのはもっと面倒なので
しぶしぶ妹の部屋へ向かった。

ぺたりと、床にじかに座る妹の周りには洋...

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お題「衣替え」　副題「聞こえない声」



今日から衣替えなんだってね

細く、美しい音だった。
しかしその美しさは
現実を思い出さないようにしていた私の努力を
むなしく打ち消してしまうものでしかなかった。
「ちょっとやめてよね、そういう事言うの」
「本当の事よ」
「衣替えなんて今知ったわよ」
嘘だ...

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サークルのお題以外で、日常ふいに思いついたブツを書くだけなので
お暇な人以外スルー推奨。



タイトル：「いつもどおり」


シャンプーが切れたので買わねばならなかったのだが、
タイムカードを切ったのは、近所のドラッグストアの閉店と同時刻だった。
社内にはもう殆ど人がいない。
先週から残業続きだと...

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