Nicotto Town



超短編 時代

   ※就職氷河期に書いた超短編小説です                 



俺には親友と呼べる
仲のいい友達が二人いる 

一人は高校大学と同じだった 将平 

もう一人は、大学のゼミで知り合い
親しくなった 元晴 


しかし俺達は、生まれた時が悪かった 

大学を卒業したら
どこかに就職できた
何年か前の先輩達とは違い 

どんなに就職活動を頑張っても
内定がもらえない厳しい時代に
社会に放り出されることになる
運命の星のもとに生まれたのだ 


それでも、俺と将平はどうにか
正社員として就職することができたが 

元晴は結局、仕事が決まらないまま
大学を卒業し、飲食店でバイトをしている 


そんな俺達の交通手段は
将平が自転車で、元晴が原付
そして俺が、250ccのバイクだ 

だから集まって
どこかへ行く時には、凄く困る
特に雨の日などは皆、機嫌が悪い


「 どっちか、車 買えよ! 」 と、俺

「 バイトだから、俺はムリ!
  正社員なんだから
  お前ら買えよ! 」 と、元晴

「 正社員たって名ばかりで
  安月給だし、いつ解雇されるか
  わからんような会社で、毎日
  ビクビクしながら働いてるんだ
  車なんか買えるか!」 と、将平


仕方ないので、この日は
元晴が自分の原付に乗り
俺のバイクの後ろに、嫌がる将平を
無理やり乗せて、目的地に向かった


ところが、この将平
ガキの頃に、親父のバイクの後ろに乗って
事故った経験があり、トラウマになっている

背中に、異常なまでの緊張を感じたが
ま、走ってるうちに慣れるだろう
そう思い、いつものように走行

そして、いつものように車体を傾けて
右折しようとした時だ

将平が怖がって、逆方向に
体重をかけるので、右折ができない

何度か挑戦したが、右折も左折もできない

何処まで、まっすぐ走ればいいんだ!



「 もう二度と、お前をバイクに乗せん! 」
と、俺が怒鳴ると、将平は逆ギレ!


「だから、ムリ!って、言っただろ!」



 はい 車 買うの お前に決定!


 こんな時代だけど、頑張って、車 買え!






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