Nicotto Town



小三治のジャズマン気質


若手噺家を紹介するラジオの冒頭に、柳家小三治の挨拶がありました。
短いものですが、聴いてて何度も拍手してしまいました。スンバラシイ。
記憶の限りで引用してみましょう。

「……名人になろうなんて思ったこたぁありません。
自分が納得できる、いい話をやりたい、それだけ考えてやってきたんで、
それを聴いたお客さんが笑ってくださりゃ、これ以上うれしいこたぁない」

芸能全てに通ずる至言。こういうニュアンスのことを言う人が少なくなった。
みなに喜びを、世の中を元気に、励ましたい、お客様あっての自分とか、
顧客第一主義の薄っぺらなセリフをベラベラ喋る有象無象に暗唱させたいですな。

「いい話を一生懸命やってお客を育てる。そして育てていただく」
これを聞きニヤッとしてたら、予想通りの痛快なせりふで締めくくった。
「お客笑わせりゃ何でもいい、ってもんじゃねえ。そうでしょ?」

拍手しかできません。古典芸能の大御所だから褒めるのではないんです。
芸人には、客から金もらう商売人としての側面もあるのは分かるが、
お客を啓蒙する教育者、『聴衆』と対峙する個としての矜持も忘れちゃイカン。

芸術家やミュージシャン、特にジャズマンの気質とソックリです。
小三治は多才で多趣味、オーディオやクラシックにも一家言ある人だが、
確かジャズやアナログカメラにも詳しかったのではなかったかしら。

小三治はカラヤンが嫌いだそうです。これも納得できますねぇ。
権威が嫌い、大衆に媚びず、軸が揺らがない。克己という語が似合う傑物です。
こういう姿勢を『Jazzy』だと評することを許していただきたいものです。





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