Nicotto Town



映画を教えろ、と言われたら


「映画教えてよ」と言われ面喰った。5歳ほど上の団塊世代。
なしてオレなんじゃと問うと「なんか詳しそうだから」と一言。
コアでマニア的な話題で悩んだ団塊世代はだいたい私に話を振る。

私に聞いてるんだから『プリティウーマン』とか『マトリックス』とか、
『ショーシャンクの空に』『スタンドバイミー』なんて答えは期待してない。
欧米の黄金期のメジャー作品を並べてもガッカリされそうな気配もある。

だからといって本気で好きな作品を挙げても話にならない。
誰が金払って『惑星ソラリス』や『サクリファイス』見るだろうか。
なかなか難しい課題である。マニアっぽく知名度が低く、でもハードル低め。

アイツは高橋英樹ばりの城・古戦場マニアなので、マニアの素質はある。
バカでもない。だが結論を観客に任せるタイプの作品は好みそうにない。
『田園の憂鬱』みたいなのはリストから外すべきだろう。

さらに「教えてよ」ときたもんだコンチクショウ。
これらの作品を続けてみれば曲がりなりにも映画史を理解した気になれる、
そんなセレクションを暗に期待しているのだ。狡猾極まりない。

よっしゃ、乗ってやろうじゃないか。10作に絞る。
王道と人気作は外す。アタシの好みも脇に置く。
もちろんそれなりに面白くなきゃダメ。さあ、どうだ。

1.『地と砂』1922

100年前のモノクロ、主演はあのルドルフ・ヴァレンチノ。
若き闘牛士の成功と恋、放蕩と破滅を描いた永遠の名作。
日本でも上映館を若い女性が幾重にも取り巻いた。関東大震災の直前だ。

2.『自由を我等に』1931

ルネクレールの名作だが見たヤツに逢ったことないからよかろう。
『モダンタイムス』的な風刺の側面よりも、フランス的人情喜劇の側面が佳い。
巴里三部作よりもこっちのほうがより楽しく観られると思うの。

3.『フランケンシュタインの復活』1939

変化球。スプラッタもホラーも嫌いだけど、この映画は実に怖かった。
モノクロで撮られた屋敷のシーンは物凄く背筋をゾクゾク刺激する。
ちなみに怪物役のボリスカーロフはこれ以降演じなくなった。惜しい。

4.『哀愁(ウォータールーの橋)』1949

名画だと思うがこれもよほどのマニア以外見向きもしない。
ヴィヴィアンリーとロバートテイラーの醸し出す雰囲気がとにかく、大人。
『風と共に去りぬ』よりもこの映画のヴィヴィアンリーを好む人は多いはず。

5.『現金に手を出すな』1953

キラ星の名作揃いの50年代から王道外して1本選ぶのには苦労する。
老ギャングを演じるジャンギャバンの渋さが際立つこれにしました。
クリントイーストウッド『サンダーボルト』の元はコレだろう。

6.『0011ナポレオンソロ』シリーズ 1964~1968

変化球その2。60年代も名画の山ですからライトコメディに逃げましょう。
TVシリーズが大人気だったので懐かしく感じるであろう。
当時のロバートボーンは凡百のコメディアンより芸達者だったなぁ。

7.『アランドロンのゾロ』1975

ドロンが我が子のために作ったというエピソードもある痛快娯楽活劇。
西洋の剣劇というものも無声映画時代から脈々と続いてまして、
大ヒットした『パイレーツオブカリビアン』にも影響してるんでしょうね。

8.『レイジング・ブル』1980

デニーロというとこの映画を思い出す。役者としての凄さが伝わります。
ボクシングという競技に団塊世代は一定の憧れを持ってるから、
なんとか最後まで見られるのではないか。少々自信なし。

9.『ラウンド・ミッドナイト』1986

90年代からも1本と思ったが……ロクに見てない。
1本くらいは音楽映画があってもよかろうと思い、デックスのコレに。
欧州に渡った(都落ちした)黒人音楽家の人生というものをしみじみ感じる。

10.『グラン・トリノ』2008

わりと秀作だと思うんです。クリントイーストウッドもけっこう見た。
戦後アメリカ的なものが21世紀にどうなったのか、という一種のヒロイズム。
でも頑固で偏屈な退役軍人を案じるイーストウッドには味がある。

……疲労困憊。結局自分の好みと価値観を切り離せるわけはないのです。
これを映画史とするのはバカですが、その時代の何かは垣間見えるのでは。
しかしディケイド(10年間)を象徴するモノ探すのって難しいや。もうヤダ。






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