Nicotto Town


人に優しく。



何かを愬えるように、直美はぼくを見ている。

ぼくはベッドの縁に手をついて、ビニールに顔を近づけた。

ぼくの身体の動きにつれて、直美の目が動いた。

その直美の目を見つめたまま、ぼくは息をつめて黙り込んでいた。

「あなたはいつも、黙り込んでいるのね」

直美の目が語っていた。

ぼくは小さく、うなずいてみせた。

表情は動かなかったが、直美の目が、かすかに笑ったような気がした。

と、不意に、まるでスローモーションみたいに、直美の唇が動き始めた。

あ・な・た・が・す・き





ー 『いちご同盟』 三田誠広 ー




 




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