Nicotto Town



初夢の続きは「イベント版」 (3)

♪じ~んせい楽ありゃ、苦~もあ~る~さ~♪

近くから携帯の音がする。なんというタイミングだ。
しかもこの歌。夢の中、カラオケで歌った曲だ。

辺りを見回すと、コタツみかんの籠の中で携帯が震えていた。
もちろん僕のじゃない。

思わず祖母と顔を見合すと、祖母はちょっと恥ずかしそうに目を細めた

祖母の表情を気にしながらも、僕は携帯に手をなばす。

着信は「非通知設定」だ。。。

なんとなく嫌な感じがする・・・でも、でなくてはいけない衝動に駆られる。。。

「もしもし・・・(僕)」

「もしもし・・・(なぞの声)」

沈黙が続く・・・

ふと、祖母に目を向けると祖母はうつむき肩を小刻みに震わせている。

(泣いているのか?それとも笑っているのか??うつむいている為、表情は読み取れない。)

「もしもし」もう一度、問いかけてみる

「もしもし?」聞こえてきたのは、若い男の声だった。

祖母と若い男?どうしてもつながらない…ん~どういうことだろうと思っていると電話の主はさらに続けた。

「あれ?、ごめんこれ優の携帯ですよね? あなたはだれですか?」

え?優? 祖母の名前はえ~となんだっけ?

優?彼女は優?祖母は? あれ?僕に祖母なんていたか?

じゃあこの携帯は誰の?誰が、誰にかけている?

ひょっとして!

僕は脳裏に閃くモノがあった・・。

「あんた、悟?」

「・・・。そうだけど、アンタだれよ?」

怪訝そうに、こちらの様子を伺ってきた。

僕はビックリして、電話を切ってしまった。

僕が掛けた優宛の電話を僕が取った?

一体どうゆうことなのだろう?電話に夢中になっていた隙に祖母の姿は消えていた。

だが僕は、知っている。僕に祖母などいないってことを

じゃああれは誰?何故優の携帯を持っていた?そして何故、僕が僕の電話を取るなんてことが出来た?

考えることは山ほどあった。

僕はごろんと、横になった、だが知らぬ間に寝入ってしまった。



「…悟…悟」

どこからか呼ぶ声が聞こえた。

と同時に頭に鈍い痛み。

「あたしの歌聞いて寝るなんていい度胸じゃん!」

痛みの正体は梅子のチョップだった。

突然、優がマイクを梅子から取り上げて、なんとも信じがたい発言をかました。

「みんな、聞いて下さい!」
「どしたの? 優?」

あれこの展開…。

「実は私は、この時代の人間ではないんです!!」

やっぱり覚えがある!すると梅子が右手をあげた

「実はわたしも!」

松梨も桃香も次々手をあげ「私も!私も」と声を上げた。

あれこれって…

「じゃあ僕も」と手をあげた瞬間

4人がどうぞどうぞって譲ってきた・ダチョウ倶楽部かよ…。

こうして、大笑いの中カラオケは終了した。

家に帰ったら優からメールが届いた。
―カラオケ、楽しかったね―

あれ?これって夢と同じ展開のような・・・。
いや、でもカラオケにはたしかに行ったし楽しかった。

ここはやっぱり返信するなら

―今度は2人で行こうな~―

だよな?


急いで返信しようとした瞬間メールが届いた。
桃香からだった。

―カラオケ、楽しかったね―

―今度は2人で行きたいな―


!!!!!

予想だにしないメールに戸惑っていると、再びメールが入った。
梅子からだった。


「松梨から伝言頼まれたんでコピペしとくね。↓

―カラオケ楽しかったね。―

―今度は2人で行きたいなっ―


!!!!!!!?



―…な~んちゃって! 今度はイケメンの友達ヨロシク☆―

↑だってさ。アンタの友達にイケメンなんていたかしら?(爆笑)」


・・・・・・。

なんだ、おどかしやがって…。

いやいやガッカリなどしてないぞ!

しかし桃香…意外と大胆…

いやいやいや、僕は優一筋!


などと考えていたら、今度は電話だ。なんなんだ、次から次へと。
着信は… 「ナベ」か。

出るなり、ナベこと渡辺は挨拶もなしに話し始めた。

「悟。お前、女子4人とカラオケに行ったそうだな?」

どうやら店から出るところをたまたま目撃したらしい。

「どうして俺を誘ってくれなかったんだよ~。俺の憧れの彼女も一緒にいたじゃないか」

「へ?」

「前に話しただろ。あの子だよあの子!」

そう言われて僕は思い出した。

「やっぱかわいいよな篠田。あの笑顔で飯3杯はいけるぜ!」
「お前の好みってホント理解できねぇ。。。」

昔から梅子梅子と呼んでいるので「篠田」と言われると一瞬誰かと思う。
渡辺は僕の幼なじみの篠田梅子が気になるらしい。

ナベはあんなガサツな女のどこがいいんだろう?
僕だったら、間違っても梅子で絶妙バーガーすら食べれない。
電話越しに、ナベこと渡辺誠二(わたなべせいじ)の、調子のよい声が聞こえてくる。

「じゃあさ、今度の休み、お前ら5人と俺でさ! 遊園地行かねぇ?」

僕が言い返そうとした言葉を遮って、ナベは「俺ももしかしたら誰か誘ってくるかもしれねぇからさ☆」などとぬかして、さっさと電話を切ってしまった。




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