Nicotto Town


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「ぼたん②」

「や、付き合うとしたら寡黙(美しい花のような人とが男の本望なのかな、って」
「で、さっきのセリフ? ……。何ソレ。私の名前が美しい花でミカって読ませることへの嫌味?」 

美しい、なんて不似合なセリフ、コイツから聞けるなんて思ってもみなかったと半ば感心していた、じゃなくて。
大層な名前負けをしている私はかわいくない言葉を吐き捨てる。
地面を汚れたローファーのつま先でトンと蹴り、あからさまに不機嫌です、と意思表明をするようにぶらんこを強く漕ぎだした私は本物のじゃじゃ馬だ。ああ情けない。

 「滅相もない。そうじゃなくて、大和撫子とか連歩とか姥桜とか、美人を表すには花の名前を用いるから、一般男子の好みが反映されているのかと思って」
 「芙蓉のかんばせいずれ菖蒲か杜若、とか?」 
「そうそう、そんな感じ」

 確かに、晴隆の言うことは一理あるのかもしれない。
言葉というのは大衆の意見が一致した結果の遺産と言えそうだし。
ああでもだったら、一般ピープルの晴隆は? 同じように思うの? 片
足をブレーキにしてぶらんこの動きを停止し、しばし逡巡する。 

「じゃ、聞くけど、晴隆もそういう女の人が好みなの?」 

顔を向け、疑問を素直に口にする。長年胸にあったわだかまりを晴隆に悟られないように質問することは、ほんの少し、心臓の動きを速くさせた。
 「うん」 こともなさげに言い放つ晴隆。自分のタイプを告げることを恥ずかしがるわけでもなく、ただ淡々と空を眺める見慣れた阿保面がそこにはあった。 
***
ぶきっちょツンデレが好きです。




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