Nicotto Town


D.J.Moon... in my soul


絵本【音楽/俣野温子】


from

絵本【音楽/俣野温子】

[1993《株式会社カボ企画》発行03-3318-3044]

どこかの街の角に立ち、途方に暮れることがあったら、私は右の手
の平を、そうっとあけて、覗きこむ。

そこには別の街があり、もうひとりの私が住む。

その街に、行ったことはないのだが、潮を含んだ風のにおいも風景も、細い小道に咲く花も、私は充分知り抜いていて、その街で、道に迷うことはない。

私が歩く道の向こうに、小さな家が建っている。私はまっすぐ、そこに入る。

部屋には音楽が流れ、私は一杯の、熱い珈琲を飲む。

ひとときの休息の間に、音楽は、時に強く、時にやさしく、心をひたす。

その街は陽が落ちない。部屋の中には、光と影が交錯する。

その街は時が止まっている。ただ音楽だけが、ゆったりと流れる。

私は古い本棚から、昔読み捨てた一冊の本を取り、ページを開き、その行間を読む。

「もう行きなさい。」私をうながし、呼びもどす その声は、晴れやかに澄み、決して私を、追いたてない。

求めようとして、人は度々道を間違える。私は右の手の平を、そ
うっと閉じて、又、歩き出す。

街は活気に溢れ、忙しそうに人々が行きかい、私も又、いつか人波の中に帰り 笑いながら、歩いてゆく。

from【音楽/俣野温子】
[1993株式会社カボ企画]

↑ムカシ読み置いてイル一冊ノehonヲmigi-no-te-no-hiraニそっと開イテ..ミ..ル.

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2009/03/17 02:52
なじゃ。さん>『やさしいこころにはひびがはいっている (La merise books) (単行本)』という絵本がすきです。そこにでてくる3つのコップがあるんですけれど、、そのコップの復刻実物(雑貨)もってます。
いろいろな本を書かれているようですね。
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2009/03/16 20:44
俣野さんは雑貨デザインが好きでよく見かけてたんですが
実は絵本描いてたり音楽活動は今回調べて初めて知りました。
そういえば音が聞こえて来る絵ですよね。
ご紹介くださってありがとう。
ホント最高のナビゲターでらっしゃる。
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2009/03/14 02:33
リィさん>最近、絵本を見て回る時間もなくて、音楽で、やっと、自分をとりもどしている気持ちです。読みたくて随分まえに買った本も有るのに、読む時間がないですねー。この絵本は僕の音楽体験の原点を描いてられるようで、すきなんだとおもいます。
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2009/03/14 02:28
みみずくさん>俣野温子さんは、小さな絵本を描かれてる方なんですが、この音楽という本だけは、自費出版で大きい絵本です。音楽の本質を描きたかったんだと思います。大切な一冊です。
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2009/03/12 20:33
今の私の心にシンクロするお話です。不思議ですけど。
moonさん紹介してくれてありがと^^

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2009/03/12 15:38
ココロを取り戻す場所なんでしょうね、
右の手の平の街、音楽の家と珈琲と本。
不思議だけどなんだかわかるようなお話に感じました。

Moonはいろんなジャンルの作品をご存じね(^^)



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