Nicotto Town


天使の棲む街


季節は君だけを置き去りにする


もしかしたら去年も同じような事を書いたかもしれないので
先日のコーデ保存の為に一旦非公開にしていた日記を
リサイクルでひっそりと書かせていただきます。

12月の声が聞こえ、街はクリスマスの装いに色を変え今年もわずかになりました。
年賀状どうしようか?メールで済まそうかしら?そんな事を思いながら
早足で歩く人達がどこかせわしなく感じるこの季節。
そんなどこか気持ちが急ぐ師走のこの時期毎年思い出す人がいます。
それが中学3年の時の同級生-Mちゃん-です。

Mちゃんは期末テストや高校入試も間近な12月の寒いある日の帰宅途中、
トラックに跳ねられ病院での手当ても空しくクラスメイト達がテストを受けてる最中
ひっそりと天に召されてしまいました。
それ程大きくない田舎の中学校でしたので、
講堂に集められ校長先生の報告を聞いたクラスメイトは勿論のこと、
ほぼ学年全員が涙を流して彼女の死を悼みました。

希望する高校へ行きたいと塾に通って勉強を頑張っていたMちゃん。
彼女の希望は叶えられる前に彼女自身の時間は止まってしまいました。
くりす自身は特別仲良くしていたわけではありませんでしたが、
塾に通う為にくりすと同じ電車に乗り合わせた時に挨拶してくれたMちゃんが
おぼろげな記憶の中で笑っています。

知人のAちゃんの話では、最近ではMちゃんの家に訪れてくれる
かつての級友達も殆んどいなくなりお母さんが悲しがっているという事でした。

そして、今年。節目の年という事もあり久しぶりに同窓会が開催されました。
十何年ぶりに出会った級友達は様変わりしていて、
自分の記憶力の悪さも手伝って名前を聞いても
中学生時代の時の顔を思い出せない人がたくさんいました。
それでもみんな自分の人生を生きてきた年月があり、
それを顔や身体に刻み込み今を生きていました。

そして、乾杯の前にMちゃんともう1人既にこの世には居なくなってしまった
K君の事を悼み黙祷しました。
K君は自分が店長を勤める店で食中毒を出してしまったとかで
思い悩み自ら命を絶ってしまわれたようです。
彼は少なくともMちゃんよりは長い人生を生き、大人になってはいたものの、
彼の大人時代を知らないくりすにとっては
Mちゃん同様あの頃のまま記憶が凍結したままです。

同い年のはずの級友達の姿がそこで止まったままになる…というのは
何とも不思議で、そして切ないものです。
これからまた時を重ね、いくつかの季節を越えていくうちに
MちゃんやK君同様時が凍結してしまう人達が確実に増えていくでしょう。
それでも彼ら、彼女らを置き去りにしてでも私たちは生きていかなくてはいけないのです。

Mちゃんのお母さん、決して私たちはMちゃんの事を忘れたわけじゃありません。
中学3年の受験間近、という多感な時期に級友を
突然の事故で失うという出来事は忘れようがないし、
その後の人格形成にとっても多くの級友達に大きな影響を与えた事は間違いありません。
でも、生きていく為に私たちは彼女を置き去りにしなくてはいけません。
彼女と一緒に立ち止まっては生きていけないから…。

それでも、いつか。自分の人生を生き抜いて自然と天への扉が開かれた時…
凍結した時間が再び動き出し、大人も子供関係なくMちゃんと再会できると信じて。




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