Nicotto Town



飛べない翼

ずっと以前戸建に住んでいた時、この季節になると北の玄関のひさしに
毎年ツバメが巣を作りました。5羽くらいずつの雛がいつも巣立つのですが、
ある年4羽が巣立ち、1羽だけが、巣に残っていました。兄弟も親ツバメもひさしの前の
電線から、おいで、飛んでご覧というように、何度も巣へ飛んではUターンします。
私は玄関の横の勝手口から、巣立つ様子を見ていました。
その時、雛が意を決した様に飛び立った、と思ったら下へ落ちました。
この辺は野良猫も多く、門の下に何匹も雛を狙って集まってきます。
私は雛の側に行き、門を超えて飛べるか観察しました。
でも、この雛には完全な翼は無かったのです。
小さな小さな翼でした。先に巣立った兄弟は、身体も大きく食欲も大せいで
親鳥は口を開けて、煩くせがむ方に餌をやってしまうので、小さな雛は栄養不足だったのでしょう。
それでも、空を見上げ必死で羽根を広げます。
何て痛々しい翼なんでしょう。
親鳥の鳴き声がピシューンピシューンと警戒音になりました。
見ると、猫が門の階段を様子を窺いながら、登りかけています。
私は脅しながら追い払いました。 親鳥は暫く猫の上を旋回していましたが、私の直ぐ上の電線にとまって、じっとこちらを見つめました。
もう日が暮れます、キッチンの椅子を巣の下に置き、軍手をはめて
雛を掴むと巣に戻しました。鳥は夜は眼が見えにくいので、ここなら安心です。

次の日、朝食の後片づけをしていると、すりガラスに映った私を見つけ
親鳥がピシューンピシューンと鳴きながら、窓ガラスのすぐ傍を何度も飛びました。
私が勝手口から出ると、雛は門を飛び越え、猫に囲まれていました。
裸足のまま門を飛び越え、猫のど真ん中に大声を出しながら駆けて行き、雛を助けました。
雛は震えていました。ガーゼを持ってきて勝手口に座り膝の上で温めました。
親鳥は2羽揃ってすぐ目の前の電線で、様子を見ています。
優しくガーゼの上からマッサージを繰り返し、雛は元気になりました。
雛の羽根は毛も揃っていず、小さなままで、親から餌をもらっても
もう、それ以上大きくはなりませんでした。
頭を撫でてやると、気持ちよさそうにしていました。

1週間が経ち、雛と親鳥の姿は見えなくなりました。
どこに行ってしまったのかは、分かりません。

やがてツバメが帰る季節になりました。
外でツバメの騒がしい声が聞こえるので、勝手口を開けると
親鳥と巣だった子供達が、勢ぞろいして、電線に止まっていました。

それは全部で6羽でした。
雛は5羽いたので、親を合わせると7羽のはずです。
私を見るとみんな鳴き声をあげ、揃って旋回してから、遠くへ飛び立って行きました。
夏が終わったのでした。

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2011/05/26 15:07
さえさん

お家の猫が・・・ではなくって、野良ネコですよね?
あたり一面羽根が散らばっていると、無残に感じられますよね。
抵抗する、牙も爪もない鳥だから、余計かわいそうですよね。
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2011/05/26 15:05
emipuyoさん

他人の家の動物は、煩くなければかわいいですよね。
ツバメのヒナの餌をねだる様子や、だんだん大きくなって
巣からはみ出してくる様子など、家の目の前なら毎日観察できますものね。
お子さんにも、良い生物の時間が持てますよね。
あの雛は、近所のシベリアンハスキーの小屋に入ってしまって、
心優しい大きなワンちゃんは、小屋を譲り外で番をしていましたww
親鳥はすぐ上の電線で、止まって見ていたのを、今でも思い出しますww
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2011/05/26 15:00
Funyさん

大きなお屋敷ですね。お家の中に地面の通路がある農家でしょうか?
一度昔の農家の造りを見た時に、広くて驚きました。
かくれんぼが楽しくできそうで、いいですね(*^。^*)
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2011/05/26 14:57
ポンさん

雀でさえも、突然春から夏に縄張りの中に侵入してくるツバメには
攻撃的ですものね。同じ時期に子育てするのですから、
子孫を残すために、動物の本能が働くのでしょうね。
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2011/05/26 00:18
切ないお話ですね。

小学校のとき、家で飼ってた鶏や、鳥が食べられちゃったこと思い出しました。
猫の身体能力を見くびってたせいで、可愛そうなことしました。
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2011/05/25 09:35
うちの前の家にも毎年ツバメが巣を作りに帰ってきます。
いつもフンの始末に大変そうですが、見ている側としては
季節を感じさせてくれるので楽しませてもらっています。
何年か前に雛がやはり猫に襲われてしまって可哀そうな
結果になった事がありました。
自然界の定めとは言え、やはり可哀そうですよね。

人間にもそういう本能があるとはいえ、人間同士はやはり
仲良く❤でいきたいですね^^
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2011/05/25 09:16
フンはすごかったと思います。
昔の農家の家なので、たたきがひろく、家そのものにはあまり被害はなかったように記憶しています。
出入り口だけで4か所もある家でした。
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2011/05/25 07:33
5月24日(火)出演御礼ブラブラ♪ニコタをブラブラするの、意外にいいかも~♪
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2011/05/24 23:05
 「飛べない翼」反響は大きいようですね。本当は
猫もカラスも悪いわけではないんですけど。彼らも
生きていかなければならないし、子供も育てなければ
ならないんですよね。それでもやっぱり、身近な弱い
ものの悲しい出来事を直視するのはつらいんですね。
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2011/05/24 19:43
5月22日(日)のお礼参りでブラブラ♪
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2011/05/24 18:28
サファイアさん
人間の匂いをつけるといけないらしいですね。
私は雛を触るときに、軍手をはめたので、良かったかもしれません。
親鳥が助けを求めてきたときだけ、干渉するようにしていたのも幸いしたかも・・。

サファイアさんの言う通り、動物的な面で人間の根底にも、
弱者を迫害する本能が隠れているのかもしれません。
隙を見せないこと、やられるままにせず、立ち向かうことしか、手立てはないのかも・・・・。
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2011/05/24 18:15
Funnyさん
雛は可愛いですが、巣の下って、フンがすごかったでしょww
私はゴミ袋を切り開いて、石で止めていましたが、一度風がすごく強い時に
ビニールの下に風が入り込み、そのまま浮かせて巣を覆ってしまったことがあり、
今でも、親鳥が慌てていた姿を思い出します。
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2011/05/24 18:09
ぷくーさん
私は完全に鳥だと思われていたのかもww
猫の包囲網から雛を救い出した時、手の平に乗せて
高く親の方に向かって差し出し、無事だよって見せたので、安心したのかもしれません。
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2011/05/24 18:06
ゆっちさん
そうそう、人間間でも兄弟姉妹がいれば、競争が起きて、力の強い者が制しますもんね。
一度近所の人が、「お宅の雛が歩いて家の犬小屋に入ってきちゃって、家の犬、可哀相だと思ったのか、
雛に小屋を譲っちゃったんですよ。迎えにきてくれますか?」って言われましたw
頭載せひよこの様に、そのシベリアンハスキーの頭の上、で生き延びて欲しかったと思います。
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2011/05/24 17:53
四季さん
空を見上げて、何度も何度も飛ぼうとしたあの雛を、今でも切なく思い出します。
出来ることなら、奇跡が起きて、空を飛んで欲しかったと思います。
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2011/05/24 10:42
自然界は厳しいですね。弱い者は生きていけない・・・
でも人間が手を出すと、親は雛を見捨ててしまうから手助けも難しいですよね。
干渉しすぎない程度に助けてあげたことで、その場で親から見捨てられずにすんだのかな。

動物の世界では弱い者ってはじかれてしまいますよね。
人間は理性や思いやりから弱い者をかばってあげる。
そこが人間が他の動物と違う所なんだと思うのですが、ある意味弱い者イジメって、動物の本能なのかなぁって思う時があるのですよ。
いやいや絶対いけいない事なんですけど、そういう本質を持ってるんだってこと自覚しないとイジメってなくならないのかなぁ~って、時々思います。

ちょっと的外れな感想でゴメンなさい(><。)
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2011/05/24 09:21
子供の頃、祖父母の家の玄関にツバメの巣がありました。
いつからツバメが来なくなったのか、思い出せませんが。
人の出入りも気にしないツバメだったようです。
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2011/05/24 01:39
悲しいですね…
Lilyさん、お世話して挙げれてすごいです…!!
親鳥も普通なら雛を触られたら警戒してきそうなのに、
なんだか言葉がつうじなくてもつながっているような不思議なお話ですね^^。
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2011/05/23 22:49
姉妹、兄弟間でも弱肉強食なのですから
動物の世界は厳しいですよね
また、それが自然界の掟なので仕方ないって言えば仕方ないのですが・・・

普通、雛鳥でも慣れない人間に触れられると怯えそうに思うのですが
なでられるままになっていたということは
本能的に❀Lily❀さんが、安全であると察知したのかもしれませんねぇ~☆
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2011/05/23 22:44
可哀相ですねToT
もどかしさを覚えますが、厳しい自然の中ではありがちなことかも知れません

電線のつばめ達は、きっとLilyさんにお礼を言って発ったのでしょうね^o^
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2011/05/23 22:26
ポンさんコメントありがとう。
この雛は自然界では、生きていけないだろうと分かっていても
助けを親鳥から求められれば、いつまで続くか分からないのに、
雛を助け、夜は巣に戻しを1週間繰り返しました。
たまに見かける巣立った兄弟は、どんどん親と同じ大きさになっていくのに、
空を見上げるばかりの、置いてきぼりの雛の姿は、哀しい現実でした。
カラスにこすずめがさらわれるのを、目撃するのもつらいものですね。

私も以前、黄色のオカメインコを飼っていました。
とってもかわいくって、今でも時々思い出します。
http://www.nicotto.jp/blog/detail?user_id=631384&aid=26511743
あの日の翼という題で、そのインコのことを書いたブログです。
もし、お時間ありましたら、ポンさんのインコちゃんと比べてみてくださいww
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2011/05/23 22:11
ブログ広場からの訪問です。
なんか、つらく悲しい話ですね。テレビなんか見てても、
野生動物の悲しい話には、目をそむけたくなることも
多いんですけど。でもこれが現実なんですね。日常、
普通に起こっていることなんですね。

 一度、スズメの親子三羽で、餌をさがして地上に降りて
いる時に、カラスが子供をくわえるて行き、親鳥が必死に後を
追いかけている状況を見たことがあります。「見たくなかった」
「何と無残な・・・」という思いをしたことがあります。

 私は今、インコ飼ってますが、自然界の危険はないにしろ、インコ
自身の自由ということをどう考えたらいいんだろう、と思うことも
あります。放し飼いでできるだけ自由に、としていますが答えは
ありません。少し、話がずれてしまいましたが・・・。
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2011/05/23 21:59
kariさん 良い本を紹介して下さってありがとう。
探してみますね。
友人のことでちょっと、ドタバタしていて、今日も本屋さん行けなかったんです。
化学の本も探したいのですが・・・。
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2011/05/23 21:53
鳥達の賢さ、生への執着、絆の深さ・・・人間など遠く及ばないのかもしれませんw
❀Lily❀さんの優しさに、ツバメたちはしっかり応えてくれたようですね^^;

今日、クレア・キップス『ある小さなスズメの記録』という本を読み終えました。
愛情の溢れる素晴らしい実話です・・・一度ご覧になってはいかがでしょうか?
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2011/05/23 21:48
おももちゃん
実はこの時の写真があるのですが、
あまりにも、私の顔がアップになって映っているので
のっけられませんww
軍手に乗ってるのが、あったはずですが、夜ごそごそできないので、
もし見つかったら、また呼びにいきますね(^◇^)
アバター
2011/05/23 21:31
悲しいですね。
誰にもどうしようもできないことなので余計にぐっとくるものがあります。
病気と似てますね。
リリーさん、ぴーちゃんの時と同じで、靴もはかずになんてたくましい(TT)
ねこちゃんも命がけだからしょうがないんだけれどね><
また生まれ変わった時は大きな翼で大空をかけめぐってほしいなと思いました。
リリーさんは、動物と仲良しですね(●^o^●)
リリーさんの優しさはちゃんと親鳥さんにもそのヒナちゃんにも伝わったと思います。



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