Nicotto Town


天使の棲む街


First or Last?


「そんなの最初に食べるに決まってるよぉ」
 そう答えた彼女の顔には「?」が2つ位浮かんでいた。何故そんな事を訊かれるのか分からない、といった顔だ…。
 分からない、というよりも何故この世にそんな質問が存在するのかということ自体理解できないのだろう。だって君は…いや、まあそれはいいとして。
 その質問というのは至極単純な事なんだけど。

『ショートケーキのイチゴは最初に食べるか、最後に食べるか?』

 それだけなんだけどね。
「だって、最初に食べなきゃ誰かに取られちゃうかもしれないし、酸っぱいだけで美味しくないんじゃない?唯はやっぱり美味しい物は最初に食べたいよ」
 多分、この世にショートケーキのイチゴを最後に食べる人がいること自体考えた事も無かったんだろうね。だって君は…

「じゃあ、まなとは最初に食べるの?最後に食べるの?」
 そう君は真っ赤なイチゴのような唇をすぼめて僕に問いかける。
「僕…?そうだな。僕は最後よりの途中かな」
と、わざと意地悪な答え方をしてみる。すると君は「?」を更に3つくらい頭の上に浮かべている表情をする。本当に分かりやすい。
「何それー?最初か最後かって聞いているのに何で途中なのぉ?」
「最後よりって初めに言っただろ?それに最初か最後なんてあくまでも例えで絶対どっちかで答えろなんて言ってないよ」
「そんなのずるいよ。まなとの意地悪」
 子供のようにプウッと頬を膨らませて見せるものの、本気で怒ってはいないという事をその表情から感じ取って話を続ける。知ったかぶりをする、子供の様にちょっと得意な表情を浮かべて…。

「分かってないなぁ、唯は。イチゴはそのままでも美味しいけどショートケーキのイチゴはクリームと一緒に食べるからショートケーキとしての美味しさがあるんだよ」
「どうして?普通のイチゴとショートケーキのイチゴは種類が違うの?」

 更に混乱している顔で…でも真顔で君が質問する。思ったとおりの反応に可笑しくて噴出してしまいそうになるのを堪えて続ける。

「そうじゃないよ。でも考えてみなよ、唯。イチゴだけ食べたらただのイチゴだし、ケーキだけ食べたらただの生クリームを塗ったスポンジケーキなんだよ。そんなの勿体無いじゃないか。僕達が食べるべきなのはストロベリー・ショートケーキなんだから」
 そういって目の前にあるわけでもないショートケーキについて暑く語る僕…は、我ながら可笑しい。そうして最後にこう付け加える。
「それが大人のショートケーキの食べ方なんだよ」





 そう強がって言った僕に、
「でも、イチゴはケーキの間にも挟まっているじゃない?」
と、反論されていたら、僕はどう答えたら良かっただろうか…?

”だって上に乗っかっているイチゴ(君)は特別なんだよ”かな。

Fin






はい、すみません。ブログネタが全く思いつかないあまりに
苦し紛れに大昔書いた某ドラマの二次創作小説を
若干加筆修正して転載してみました^^;
ちょっと前にもこのドラマネタでブログ書いてますねそういや。
どうもイメージ貧困な人間なもので、
自分でキャラや設定を作って
全くのオリジナルの話を創作するというのは苦手なんですよね。
だからと言って二次創作も大して上手くないっていう駄目駄目ぶりですが…。
まあ、若さと勢いだけで綴った駄文を
たまに読み返してみるのも新鮮な気分になるものですw




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