Nicotto Town


天使の棲む街


夏花火【2】


何だか当初の予想以上に間が空いてしまいましたが
以前書いたSSの続編です^^;
第一話はこちら↓

http://www.nicotto.jp/blog/detail?user_id=211960&aid=30282594

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高校時代の高橋美夜子は分厚い眼鏡を掛けて、暇があれば本を読んでるような
そんな…地味で大人しい少女だった。

図書室で勉強をしている所をよく見かけた事がある。
勉強が好きなのか?と聞いた事があったが
特に好きなわけではないと言っていたのが何故か未だに印象に残っている。
ただ、家に居たくないから県外の大学に行くために勉強しているのだと…
そんな事を誰に言うでもなく、付け足すようにつぶやいていた。

俺の一番古い記憶の中の美夜子は小学生時代だろうか。
家庭の事情とやらで小6の夏休みという半端な時期に引越してきた美夜子は
雨の中、事故に遭って息絶えていた仔猫を抱えて静かに泣いていた。
その時は声を掛けなかったが、
2学期に入り隣のクラスに転入してきたのがその時の少女だったと後から知った。

中学時代の事はよく知らない。
というのも、学区が違ったので中学時代は別々の学校だったからだ。
なので、高校に入りしばらくの間は
美夜子が同じ学校に来ていた事にすら気付いてなかった。
2年になって同じクラスになって初めて気付いたくらいだ。
向こうは俺と同じ小学校に居た事すら忘れているだろう。







…まあ、元々特別交流があったわけじゃないしな。
そう、誰に対してなのか分からない回想に対する言い訳をしてふと気付いた。

あれ?俺は何でこんなに美夜子の事を覚えていたのだろう?
地味で目立たない、単なる元クラスメイトじゃなかったのか?
そもそも、遠藤に対して憧れていた事を知って何故落胆をしているんだ?

まさか俺は美夜子の事を…いや、それはない!!
ただ、俺の中では美夜子は地味で大人しいだけの少女だったんだ。
他の女みたいにカッコいいというだけで簡単に男になびいたりしない、
そんな少女だと思っていた…からこそ
意外な俗物的な側面を知ってしまったから
…って、こう思う事自体彼女を聖女化している証じゃないのか?
いや、でも聖女化っていうのは恋愛感情とはまた別だろう…?
ああ、もう俺は一体誰と議論しているんだ!!

「ガッカリした?」
そんな俺の脳内会議の内容を見透かしたかのように
美夜子は柔らかい笑みを浮かべて俺の顔を覗き込んでいた。
「いいよ、分かってるから。本当そういう所昔から変わってないよね」
即答できずに戸惑っていると、クスクス笑いながら美代子が口を開いた。
「自分でもね、ミーハーだなぁって思うもん。でもさ…私だって普通の女の子だよ」
「うん…」
目線を花火に落とす。紅色から碧に変化した炎に照らされ
美夜子の肌は更に白さを増す。

確かにそうだ。美夜子の事を俺が勝手に地味で大人しい、
俗物的な物に染まらない女だと思っていただけに過ぎない。
俺のそんな思い込みでガッカリされたら堪ったもんじゃないよな。

「実際は、普通どころかもっと悪い女かもしれないし?」
そう、ポツリとつぶやいた言葉の意味に思い当たる事が一つだけあった。
今日の同窓会で美夜子と同じ大学に進学した同級生が噂していた、
大学教授との不倫疑惑。多分その事を言っているのだろう。

「疑問系かよ」
他にどう答えろというんだ。実際どうだったんだよと聞けるわけもなく…。
自分のボキャブラリーの乏しさを呪いながらも何とか返答する。
そんな俺の苦し紛れの返答に、何故かツボに入ったらしい美夜子は唐突に笑い始めた。
「ちょ、笑いすぎ…」
「ごめん、だって本当に相変らずだなぁって思って」
「相変らず相変らずって…大して話した事なかったじゃないか」
「うん、でも小学生の頃から知ってるじゃない」
「そりゃそうだけど…って、え!?」
覚え…てたのか?

「私が事故に遭った仔猫を抱いて途方に暮れていたら、無言で穴掘ってお線香手渡してどっか行っちゃったじゃない」
まさか覚えてる…っていうか俺だと分かっているとは思わなかった分
これには思いっきり面食らった。

(続く)

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すみません、前後編で終わるつもりだったのですが
文字数の関係上終わらせるの難しかったので続きますヽ(;´д`)ノ

アバター
2011/08/16 12:29
>サビ猫様

レス遅くなってごめんなさいm(_ _)m

サビ猫さんに読んでいただけたとは!!Σ(゜д゜*)
お恥かしいですが、楽しみにしていただけて光栄です(/ω\)

本当、この文字数制限はそろそろ何とかして欲しいですよねぇ。
普通のブログ書く分にはそれほど気にならないのですが
小説書くにはすごく微妙な文字数だと思います(´・ω・`)
アバター
2011/08/15 00:04
続き楽しみにしてます!

しかしこの2000文字の文字制限なんとかならないかっていつも思います。
この文字数だと前後ふたつにわけてもおさまりが悪いんですよね・・・。



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