Nicotto Town


グイ・ネクストの日記帳


死使(しと)。今回のお話は怖いかも


怖いかもしれやせん。


グロテスクな表現もありやす。

死使(しと)

 目の前に殺意を持って、ボクを殺そうとする親子がいる。

二人とも金髪だ。胸に刺繍された紋様は不死鳥フェニックス、炎の鳥。ヴァルキュリアス王家の人間のように見える。

「小僧…そこをどけ。例え貴様が赤い瞳を持つ魔王の操り人形であろうとも…仮にもリルル・ガランド・ヴァルキュリアス・マーティー・ファラム。遅れはとらぬ」と、髭を生やした男性は抜いた剣をボクの方へ向けて距離を詰めてくる。

「私は…ニナ・ガランド・ヴァルキュリアス・マーティ・ヴァラサム。リルルの娘にして王女。そこをどきなさい…」と、同じく距離を詰めてくる。

 だが、そこに二人の後ろから赤い瞳をして黒い甲冑を纏った黒騎士たちが四人、いや、十人…集まってくる。

 

「くっ。バカな…後ろからもだと。」と、リルルと名乗った父王は娘を庇うようにして、前に立つ。

「お父様…」と、ニナと名乗った王女は父の後ろへ隠れる。

 

黒騎士たちは一斉に襲いかかった。

やめろーーーと、ボクは叫んでいたのだろうか…声をかき消されるかのように頭に、もう一人の声が響く。

「ルゥ…もう間に合わない。だから…男を喰らえ。血をすすり、魂を喰らい、王女の憎しみ、恨み、悲しみを喰らえ…。君はボクの半分を持っている…。だが、多様はしてくれるな。君まで堕ちて欲しくない。君はもう君じゃない」

 ヨシュア…。

 意識を…自分の身体のコントロールを取り戻し、ボクは前方を見た。

リルル…ヴァルキュリアス王は四人の黒騎士によって貫かれていた。

「お父様―――――」娘は泣き崩れ、ただ悲しんでいるのか、それとも…握りこめたこぶしは復讐を誓っているのか。ボクには判断はつかない。

 黒騎士たちはターゲットを娘にはではなく、ボクに絞った。

ボクは即座に動く。だが、さらに後ろで控えていた四人に回りこまれ、そのさらに後ろで控えている二人から弓を放たれ、ボクは肩に矢が刺さった。

「うぐぁああああ」と、痛みに声を荒げて、それでも走る。リルル王の身体をつかみ、心臓を掴んだ。「ぼうや、オレの命を食べに来たか…喰らえ。そして娘を…。ぼうや、生きろよ」その死に顔は笑顔。笑っているように見えた。黒騎士たちは死体を拾いあげたボクを奇妙な目で見ている。赤い瞳で、「ゴミを拾ってどうするのだ?もう、お前には助かる道などないのだぞ」と、無言で語っている。そう、まるで勝利を確信したかのように口元を吊り上げ、笑っている。操られていても…そういう心までは消えないのかもしれない。

 

鬼は鬼に狩られる…。

 

ヨシュアの力…、思い知るがいい。

 

ボクは心臓を握りつぶすようにもぎ取り、したたる血を飲み込んだ。

 

 

 われ、闇よりもなお暗き闇の衣纏うなり。

 

 われ、人にあらず。

 

 われ、魔にあらず。

 

 われ、すべからく死を与える者なり。

 

 憎しみと、血と、悲しみを喰らいて

 

 鬼を狩る者なり

 

 レヴァンティンよ、赤き武器よ。今宵は鎌となりて、獲物を狩ろうぞ…。

 

 われ、死使(しと)なり。

 

 ドクロの仮面を被り、鬼を狩る。

 

 その言葉はすらすらと、出てきた。

黒騎士たちは口元の笑みが消えて、引きつった顔をしている。

「金色(こんじき)なるお方が、何故ここに…」と、黒騎士たちはそれぞれ顔を見合わせる。

「金色?…わからないな。われはさ迷う命に終焉を。そして絆をつなぐ者なり」

そう言って、動いた。

動いた?これが動く?何かが違う…。

鎌を一閃する。首が二つ飛んだ。

一振り、二振り、三振り…。

すでに黒騎士は殲滅した。

 つづく。

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2011/09/10 09:17
 血が滴り落ちるとこは頭の中で映像が浮かんで見えてきた…



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