Nicotto Town


グイ・ネクストの日記帳


空を仰ぐ


タイトル:逃げてきた兵器のつづきです。


まあ、読んでみてね。

視界が戻った。

 身体がだるい。歩きたくない。ボクはまたもう一人の自分に話しかける。

「動きたくないのもすげぇ、わかる…でも頼むから動いてくれよ」

「何故だ?」と、もう一人の自分「ラルクぅ」は質問してくる。

「世界が見たいんだ…ここがどこなのか?知りたい。『リルル』もそれを望んでいる。

わかるだろ?」

「『リルル』が。あいつがそんなことを…。なら従う。あいつが望む意志はオレたちの意志だ」

「ありがとよ」…。

ボクはやっと身体を動かす。左肩の傷は治っていた。傷口が塞がっている。

魔力ではなく、「精霊」の力を感じる。この力は水の申し子…それも王家クラス?フィルハーモニー家ゆかりの者のしわざかな。

ボクは立ち上がり、目の前にある銀色のドアを目指した。銀のドアの中央には青い鳥が翼を広げて飛び立とうとしている。

青い鳥の紋章…。やはり、フィルハーモニー家だ。ここはフィルハーモニー家が所有する館のようなところかな。

ドアを開けると、金髪で青い目をした女性と、赤い髪で、黒い瞳の男が立っていた。

「きみたちは誰?。『リルル』の友達?ちょっと待ってね。あれ?まだ起きてこないや。ごめん、もう一度自己紹介してもらってもいいかな」と、ボクは申し出た。

 

「あなたの名前…まだワタシだって…聞いていません。あなたは父を喰った。でも、ワタシの感情も食べてくれた…あなたからは父の匂いと、ワタシの匂いがする。あなたをリルルと呼びたい。それをあなたは許してくれるかしらん。ねえ、教えて。いいえ、答えてください。お願いです」と、金髪で青い目の女性は見つめてきた。

「キミは…そうかニナだね。かまわないよ。きっと「リルル」もそれを望んでいる。ボクはルゥ。リルルの中の一人。よろしくね」と、ボクは返事をした。

 すぐ横で笑い声がした。

「あっはっは。お前、おもしろい奴だな。今度は「ルゥ」か。それに「リルル」と違ってお喋りじゃない。オレはスコット・フィルハーモニー。スコットと、呼び捨てでいい。よろしくな。」

「よろしく。ところでボクに何か用でも?」

「ああ、その実は…兄を一緒に助け出して欲しいんだ。黒騎士たちの巣窟となった城下町フィンの酒場に兄はいると、聞いている。一緒について来てくれないか?」と、スコットはボクの瞳を見つめてくる。

「ワタシからもお願いします。あなたには…世界を変える力がある。あの時のあなたは怖かったけれど信頼できるから」

信頼できる?何を根拠に・・・。


 もう一人の自分フェンリルは告げる。

 「試してみろよ…許されるなら」

 

「召喚!レヴァンティンよ!」と、ボクは叫んだ。右手のそばに赤く輝く魔剣は現れる。

ボクは魔剣を握り、ニナに突きつける。

首筋をかすめる。

「世界を変える?ボクは略奪者だ。今ここで命を奪っても?きみはボクについて来るって言えるかい?」

ニナはただ目をつぶった。

「あなたに救われた命…あなたに委ねます」

…なんだその潔さは…。

………なあ、フェンリル。こいつらは信用してもいいよな………。

 

「おい!リルル」と、スコットは叫ぶ。

ボクはスコットを見つめ、剣を消した。

 

「スコット……そこの壁にある剣を引き抜いてボクの心の臓を突き刺すがいい。それともボクに生かす価値があるなら生かしてくれ」

 

「…お前…」と、スコットはつぶやく。スコットの黒い瞳に何が宿ったかはわからない。ただスコットは目をつぶり、目を開くと、同時に壁にあった剣を手に取り、ボクの心の臓、目掛けて突いてきた。

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2011/09/18 17:36
ニナがニーナに見えて一瞬ドキッとしましたw
私がこんな素敵な人ならいいのですが←



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