Nicotto Town


グイ・ネクストの日記帳


青く輝く鳥 


 ワタシはニナ・ガランド・・・の続きです。

青く輝く鳥


 血にまみれ、泥くさいと言われてもいい。


 殺人のあとは気のたかまりを静めるために・・・ボクは血の海の中、手を握ったり、開いたりしていた。

 その動作に気を静める効果があるなんてことは聞いたこともなく、ただそれでもボクはやらないと落ち着かないのだ。

 愛を与える。

 それが自分が生かされている理由ではなかろうか。

 ボクは殺人を犯し、奪うことしかできなかったことを謝り、別れの言葉と、旅立ちの言葉を死体に添えていく。

 それはボクにとっては一つの儀式みたいなものだ。

 誰かに教えられたというわけでもない。

 アリを殺した時、カエルを殺した時、小さいとはいえ、命をもてあそんでしまった時に、ボクはこうして儀式みたいなものを執り行ってきた。

 やり始めると・・・ニナと、スコットも一緒にやってくれた。その心使い、行動に胸が熱くなるのを抑えられず、何故か「ありがとう」と、つぶやいた。

 スコットは「よせやい」などと、照れている。

 ニナはただにっこりほほ笑んだ。

 ありがたかった・・・。

 「ルゥは誰に・・・この儀式を教わったの?」

 「わからない・・・。ただそうしたいんだ。こうすると落ち着くってわかるんだ。」と、つぶやいてからボクは叔父のことを思い出した。

 叔父、ダクト・アプサラスは「そこに罪があるから、そうするのではなく、天国と共にあるために、そうするのだ」と、よく語ってくれた。アプサラス家の次男に当たる叔父はフィルハーモニー家にて執事をやらせてもらっていると・・・手紙で読んだことがある。

 叔父は生きているだろうか。

 「ルゥ。人が来る・・・。」と、ニナはボクの袖を引っ張る。

 スコットは、「ダクトじぃ」と、驚いた顔をして近寄って来る人間を見つめている。

 「そこにいるのはルゥか。わが甥っ子のルゥなのか」
 
 「おじさん!どうしてここに!」・・・何よりも驚かされたのはボクだった。

 「フィオル様の執事をやっていると・・・手紙には書いていたと思うが。さては忘れておるな」

 「そうでしたか・・・。フィオル様の。ではおじさん、この奥にフィオル様はいるのですね」

 「そうじゃな・・・かろうじて。おっとその前に「合言葉」を言ってもらわんとな」と、ダクトおじさんは言う。


 「青い鳥・・・」そうつぶやくと、ダクトおじさんの後ろの方で、カチリと、奇怪な音を聞く。

 「使者様も御主たちを認めてくれたようじゃ。よかったの」

 「使者様?・・・おじさんの他にまだ誰か?」

 「気づいておらぬのはルゥよ、お前だけじゃ。周りをよく見てみい」

 右手を見ると、スコットが跪いて、下を見ている。

 ニナにいたっては両膝をつき、目をつぶって、祈りを捧げている。

 ボクは今の今まで死角となっていた右斜め前に視線を移す。

 そこには青く輝く鳥がいた。

 ボクは慌てて、跪き、血で染まった床を見た。

 「『聖霊』に会うのは初めてか、ルゥよ」

 「・・・はい。『聖霊』さまのお住まいを血で汚し・・・」

聖霊:気遣いは無用。血に正も邪も無い。床が汚れた・・・それだけのこと。黒き聖剣を持つ者よ・・・カウンターの奥の封印を解いた・・・。階段を下り、白き聖剣を持つ者に会われよ。

 それだけ伝えると、青い輝きは徐々に治まり、消えていった。

 「ささ、こっちじゃ。早く来い」と、カウンターの奥からダクトおじさんに手招きされてボクたちは歩を進めた。

 青い鳥の紋章が描かれている茶色のドアを開けて、ボクたちはロウソク灯りを頼りに下の階へ降りた。


アバター
2011/10/14 23:27
「聖霊」が青く輝く鳥って・・・とってもいいね。。^^
アバター
2011/10/14 19:07
 どうなるんっ(´・艸・`;)



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