実家の母から電話が入り、親戚が亡くなったということで、駅まで迎えに来てくれと頼まれた（母は免許を持っていない）

　それはそれで別にいいのだが。

　通夜の席で見上げた遺影に、全く心当たりがない。

　こんな人知らんぞ？　いったい誰なのさ？　と聞いたところ、母の従姉妹に当たる人だった。

　母の実家はやたらと血縁関係を大事にする家なのに、この人とは一度も面識がないなんておかしいなと思ったら、精神的な病を抱えてしまい、ずっと某精神病院に隔離されていた人なんだそうだ。

　旦那の浮気が原因だったそうだ。

　浮気相手の家に入り浸り、自宅に帰らなくなった旦那のために、毎日夕食を作って待ち続け、とうとう心の病気になってしまったそうだ。

母「結局最期まで、正気に戻らなかったわねぇ。子供の頃に一緒に遊んだときは、快活で良い子だったんだけど・・・」

　お棺に納められたその人に、涙ぐみながら母は手を合わせていた。






　今朝のことだ。

　朝も5時から、階下で姑が騒いでいる。何事かと降りていってみれば、玄関に上半身Tシャツ・下半身素っ裸の50代女性がいた！（良く見たら、ベージュのパンティははいていたｗ）

　姑は彼女に思いあたりがあるらしく、家の中に上がりこもうとする彼女の手を取り、どこかに連れて行ってしまった。

　ナンですかアレは？　と聞いてみたら、近所に住んでいる人だった。やっぱり男女関係のもつれで、精神的な病気になり、病院にも通っているそうだ。

　発症したのは何十年も前のことなのに、年を取るにつれて病状は酷くなる一方で、とうとう徘徊を始めたようだという。

姑「面倒見ている父親も良い年だし（推定70歳前後）母親は寝たきりだし。娘があんな調子じゃあ、心配でしょうがないでしょうねぇ。可哀想に・・・」

　姑はそう呟くと、持って行かれそうになった傘を、全部家の中に収納していた。

　




　幸せな人達だと思う。たかが恋愛ごときで、病気になれるのだから。

　そこまで愛せる異性に出会えたんだから、それはそれで幸せなんじゃないか？　俺には無理だけどな。



　だって俺は


　病気になってる暇があったら、さっさと男を殴り倒すと思う。


　一晩も泣けば、翌日には腹が減ると思う。


　飯を食うために働きに行くと思う。


　働くなら、病気になんてなってられないと思う。


　恋愛だけじゃない、この世は楽しいことに満ちていると思う。



　もったいなくて、心の病気なんてやってられないと思うんだよね。




　違うかな？