Nicotto Town


安寿の仮初めブログ


『都会のアリス』を追いかけて ヴッパタールその2


さて、ヴッパタール。


ルール工業地帯に位置する地域ですから、
ブッパタールは18世紀の産業革命と共に開けた労働者の街。

これまで訪ねた
王侯貴族、司教が作り上げた都市や、
中世に起源を持つ自治都市や大学街とは、
かなり趣を異にします。

煉瓦の壁そのままの近代的工場、
煙をもくもくと吐き出す煙突、
労働者向け集合住宅とクナイペ(居酒屋)、
そして労働者の街だからこそ、失業者も多そうな感じ。

これが安寿のヴッパタールに対する先入観。

そして予想通り、
駅からモノレールへと向かう地下道には、
ゴミが散乱し、壁は落書きだらけ。

目抜き通りには空き店舗が目立ち、
日曜日の朝だから人通りも少なく、
こう言っては失礼ですが、どことなく寂れた感じが…。

そして、駅前を流れるヴッパー川。
何のことはない、川幅は、東京の神田川や大阪の道頓堀程度。
ただし、ここは内陸ですので、
水はきれいですし、
川は浅く、いくつものせせらぎをつくっています。
そして、川の上には、
お待ちかねのモノレールの線路が。

ちょうど頭上を高速道路が走っている東京の日本橋みたいな感じですが、
ヴッパー川の場合、頭上にあるのは、
モノレールの線路とそれを支える橋桁だけですので、
日本橋のように、川に蓋が被さっているような閉塞感はありません。

  …と、その時、ひゅんひゅんと鉄の鳴る音。

そうです。このモノレールは、上野動物園のモノレールのように吊り下げ式。
しかも、鉄の軌道を鉄の車輪が挟み込んで動いていましたから、
電車が近づいてくる時、鉄の線路が鳴るように、
このモノレールの軌道も、ひゅんひゅんと鳴るのです。

そして、川の上流から、
結構速いスピードで、
モノレールが近づいて来ました。

頭上を通過する際は、ゴ~~~と結構大きな音が。
ただし、モノレールは2両編成ですので、
すぐに走り去ってしまいます。

そして、ヴッパタール中央駅の駅舎に車両は吸い込まれていったので、
私も後を追うように駅舎の中へ。

初乗り運賃は1ユーロ40セント。
時刻を印字する機械に自分で差し込んで改札をして、乗車。

乗ろうとして気がついたのですが、
このモノレールは吊り下げ式ですので、
車両自体が振り子のようにぶらぶら揺れています。
なんだかおもしろい。

この金額で終点まで乗れます。
駅の数はだいたい20程度だったかな~。
ですから、始発から終点まで乗っても、30分ぐらいだったと思います。

ヴッパタール中央駅は、ちょうどモノレールの中間地点に位置しますので、
まずは、動物園がある方の終点まで乗ってみます。

ヴッパー川は水量の少ない細い川ですので、
右左に蛇行しながら流れていますが、
その川の上にこのモノレールも走っていますから、
モノレールの線路もこまめに左右に曲がり、
したがって、モノレールの車両も、
遠心力で左右に振られながら走っていきます。

あるところでは、
ブッパー川が大きな工場の真ん中を流れているので、
モノレールもそのまま工場の真ん中を通り抜け、
おそらく工場労働者専用となっている駅もあったりします。

動物園/スタジアム駅を過ぎると、
モノレールはヴッパー川を離れて、
通りの上を走るように…。

  あっ! ここだ!

『都会のアリス』では、
モノレールに乗って、
上から「おばあちゃん」の家を探してみたものの、
結局見つからず、
仕方がないので、夕暮れ時にモノレールを降り、
近くの安ホテルへと歩いて行くアリスとフォトジャーナリスト。

その二人が歩いていた通りは、ここです。

でも、ここはモノレールの終点間近。
つまり、二人はモノレールに乗って、
終点間近の駅で降りたことになります。

とりあえず、終点まで乗って、
そこから頭の上をモノレールが走っている通りを歩いてみます。

日曜の朝ですから、まだ静かで、多くの店は閉まっています。

通りを歩いてみると…、

ありました。
お客なんか誰も泊まっていなさそうな、  ☆\(ーーメ
小さなホテルが数軒。  

そして、またひゅんひゅんと鉄の鳴る音がして、
頭上をモノレールが、ごーーーーと走り抜けていきます。

ヴッパタールの市民にとっては見慣れた光景。
ひょっとしたら、少々喧しく思えるモノレールかもしれませんが、
でも、中央駅の駅前の印象とは異なって、
モノレールが行き来するこの通りは、
なんかかわいい感じがします。
特にきれいなものは何もないけど、
なんだかオモチャの街の中にいるみたいです。

数駅分、通りを歩いて、またモノレールに乗り、
今度は反対側の終点へ。

こちら側はずっとヴッパー川の上を走っています。

  …ですが、あ、一つ駅がない。

駅舎を全面解体して、新しい駅を作っているので、
工事期間中、駅が完全になくなっているところがありました。

このモノレールは開通してから、もう百年以上経っています。
基本的な構造は変わっていないらしいのですが、
車両や駅舎、そして様々な設備はリニューアルしていますから、
ガラス張りの駅などがあって、古さをあまり感じません。

それに片道30分くらいの距離なのに、
イベント列車ならぬ、イベント専用の、
ちょっと豪華な貸し切りモノレールが走っていて、
モノレールの中では団体客が朝も早うからビール飲んでます。

飲食物持ち込み可のお座敷列車みたいなものなんでしょうか?

さて、反対側の終点は、
ブッパー川の川岸に芝生の公園が広がり、
これまた良い感じになってます。

ちょっと降りて散歩して見ました。

終点でモノレールの軌道は、
大きくぐるりと半円を描いているので、
お客を降ろしたモノレールは、
前後を逆にしてバックする形で再び走り出すのではなく、
そのまま前に進んで、半円の軌道でぐるりと向きを変えます。

このあたりの仕組みもおもしろい。

  …と、半円の軌道の向こうに、また新たな軌道が…

どうもモノレールの延長工事をしているみたいです。

ヴッパタールの街とモノレールは、
寂れた街の上を通過していく、
旧式の都市交通システムなどでは決してありません。

きれいな流れのヴッパー川と、その上を走るモノレール。

この二つによってブッパタールは、
ミニチュアの街を見ているかのように、
どこかかわいい感じのする街だったのでした。

午後は、ケルンの南。
ブリュールのアウグストゥス城へ向かいます。

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2012/11/05 01:42
>Luciaさん

ドイツの列車に乗っていると、
外国語が飛び交っていますので、
ドイツ語が必須ということはないんじゃないでしょうか。

駅名が読めればなんとかなるし、
モノレールの切符は一律料金だから、
なんとかなると思います。

それよりもまず『都会のアリス』を見ること。
日本ではDVDで手に入りますが、イタリアではどうでしょう?
そして、鉄道オタクの血が少しは流れていること。

この街は、
世界最初のモノレールが生まれ、
今も立派に市民の足として役立っていること、
そして『都会のアリス』の奇妙で、
しかし切ない放浪に心惹かれるものにとっては
聖地なのです。
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2012/11/05 01:33
>∞風∞さん

そう思っていただけると、
書いている方としても張り合いが出ます。

ありがとうございます。
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2012/11/03 20:07
面白そうな街
行ってみたいけれど....

やはり、独語必須でしょうか???
それとも、労働者の街なら、イタリア語が結構通じる???

舅もそうだったけれど
ドイツへ出稼ぎへ行ったイタリア人は多いし
そのまま移住した家族も多いから。。。

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2012/11/03 11:19
安寿さんのブログを読んでると私も行ってみたくなります^^



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