Nicotto Town


COME HOME


「チョコレィト」

「苦っ! 」

湯選で溶かした、銀のボウルに入ったチョコレィトを、千里(ちさと)はつまみ食いしてから顔をしかめた。

「しょうがないでしょ。優太、甘いの苦手なんだから」

これからチョコレィトを流し込む為使う型を流水で洗いながら、私は答える。
今の時期、冷えた水で洗うのはキツイからという理由で流れる温水のぬるさが手に心地よい。

「ナニ、そうなの? あんな魅惑のハニーフェイスをしてるのに? 」

いやらしい笑みを浮かべながら千里はもう一度ビターチョコレィトの池に人差し指を沈め、茶色くなった指を口に運ぶ。なんとなく、妖艶。

「冷やかしに来たんだったら、チョコレィト、あげないよ? 」
「こんな苦い本命チョコ、あんたから貰ったてねぇ」
「本命じゃありません」

明日行われる、日本中(いや、世界中? )の恋する女の子の為にある、バレンタイン。
その日に向けて私は、甘いものが苦手な自分の彼氏、優太の為にチョコレィトを作っていた。と言っても、市販のビターチョコレィトを溶かし、型に流して冷やすっていう全国の乙女に優しい調理方法で出来る愛を込めた産物だ。ぶっちゃけると、バレンタインとか面倒くさいから、愛があれば十分よね。

去年家庭科で作ったエプロンで濡れた手を拭き、型を振って水をはじく。千里に水が跳ねた。

「ほら、調理の邪魔だから、席に着いて。あんた、髪結んでないんだから毛が入っちゃうでしょ」

千里ご自慢のサラサラロングヘアーを理由に追い出し、隣のリビングの食卓の椅子に座るように促す。「ほいさ」なんてあほな返事をして、千里は大人しく私の指示に従った。

それからさっさとチョコレィトを型に流し、冷蔵庫へと冷やしに入れる。それと同時に、昨日から用意していたものを取り出した。

「はい千里。友チョコで良ければ、どうぞ」

丸い白いお皿を机の真ん中に置く。お皿の上には、たくさんのトリュフ。きっと、食い意地の張ってる千里は、すぐに平らげてしまうだろう。

「……ビター? 」
「ミルク味です」

お皿を自分のほうに引き寄せながら、甘党の千里が窺う。そして、私の返事を聴いてから一粒を口に含んだ。

「ん、おいしい」
「ま、手軽に作れるものだしね。失敗しない限り味は確かよ」

指先に着いたチョコレィトを舌先で拭う千咲を見ながら、私も一粒頂く。うん、まずくはないね。
その間にも、千里はトリュフ口へ持っていく運動を休む事無く行う。

「トリュフなんか貰っちゃって、もしやあたしって、あんたの彼氏さんより愛されてる? 」
「そうなんじゃない? 」
「レズなんて趣味、無いんですけど」

そう言って笑う千里につられ、私も笑う。
早くも、トリュフの数は半分に減っていた。

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2009/08/01 22:41
みかのさん>

私は塩を一杯入れたチョコを同級生の男子にあげた事があります(笑
時間差で結構キたらしいですよww
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2009/07/29 18:57
ほのぼのしますね(*´ェ`*)
いいですねえ。こういうの。
わたしは行事ごととかそういうの気にしないタイプなんで
バレンタインに彼とかにチョコあげた記憶無いです←
でもこれからは作ろうかなあとおもいました。
今募集中ですけどね!!←←←



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