Nicotto Town


安寿の仮初めブログ


久しぶりに文楽


久しぶりに文楽を見てきました。
演目は『伊賀越道中双六』

三重県伊賀市、
現在の伊賀市役所の近くにある
鍵屋の辻という場所で実際にあった敵討ち。

それを題材にした演目で、
赤穂浪士、曾我兄弟と共に、
日本三大敵討ち話として有名です。

1・2部での通し上演。
両方を続けてみると、
11時から始まって、終演は夜9時。
なんと10時間。

途中の休憩時間や1部・2部の入れ替え時間を合わせると
全部で約2時間程度の休憩があるので、
差し引き約8時間の演目。

いやあ、疲れた疲れた。

でも、今回、この公演を見ておこうと思ったのは、
その贅沢な出演陣。
特に第1部最後の沼津を舞台にした
「沼津里の段」「平作内の段」「千本松原の段」。

なんと重要無形文化財保持者、つまり人間国宝の方が
4人もこの場面で演じるという…。

三味線 鶴澤寬治
三味線 鶴澤清治
人形   吉田簑助

そして、中でも一番聞いておきたかったのが、
脳梗塞から復帰した、
浄瑠璃語りの大夫、竹本住大夫が
約20分の場面を一人で語る「千本松原の段」。

これは安寿の独断ですが、
文楽の世界は、
おそらく50代でようやく一人前。
60代で中堅となり、
70代になって芸に味が出てくる感じがして、
他の伝統芸能に比べると、
遙かに修行期間が長いような気がします。
だから名人の域に達した芸が見られるのも、
比較的短いような気がします。

住大夫は平成元年に人間国宝になっていますから、
文楽の世界ではかなり長い間、第一人者として、
至高の芸を見せてくれたのですが、
その住大夫も88歳。

確かに住大夫が語り始めると、明らかに違うのです。
圧倒的な声量と声の響きの深さ。
巧みな役の演じ分け、声色。

住大夫の出番の前で、
「ああ…、この人、上手な語りだなあ~」
と思った大夫がいたとしても、
住大夫が登場し、語り始めると、
それまで上手と思っていた大夫の語りは、
そのすべてが色褪せてしまうのです。

  はっきり言って、次元が違う…

でも…、ごめんなさい…住大夫さん…

大きな病を経たせいか、
声量や声の深みに、やはり衰えがあるような…。

「千本松原の段」は、
老いた親である平作の語る場面が多いため、
少し衰えた声でも違和感がありませんでしたが、
果たして他の場、
他の演目でも支障なく演じきれるのでしょうか?

そんなことより、
そもそもあなたの声を、ああ~、
これから先、どれだけ聞くことが可能なのでしょう…

  問うてみても、詮無きこと。
  答えは神のみぞ知る…

だとしたら、文楽をいつ聞きに行くのか?  いまでしょ!   ☆\(ーーメ) 軽い


てなわけで、10時間に及ぶ文楽三昧。

  はあ~、堪能しましたあ~。


住大夫の声を聞きたい人のために ↓
http://www.youtube.com/watch?v=FtJWv1CeMok&list=PL70DF15CD949CEB5C&index=1




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