Nicotto Town



鬼を名乗りて③



節分の頃にやってくる

年に一度のブログが今年もやってきた!

『鬼を名乗りて』シリーズ第三回は鬼武蔵さんです。




鬼武蔵とは戦国時代の武将、森長可の渾名です。

ん? 森長可って?と思った人には

織田信長の小姓で有名な、森蘭丸のお兄ちゃんと言えばわかるかな?

蘭丸の兄が鬼? とイメージが沸かない人もいるかと思いますが

彼が小柄な美少年だったというのは後世のイメージです。

蘭丸は実際は信長より大柄であったという記述も残っていますしね。

まあ小姓は言ってしまえば、最後のボディーガードですので。

少々話がそれました。さてこの鬼武蔵

ぶっとんだ逸話の多い人物なのです。

いくつかそのエピソードを拾っていきます。



○長可さんと人間無骨

彼が13歳の時父親と兄がバタバタと逝った為、棚ぼたで家督を相続してしまった長可さん。

老臣たちは、こいつで平気か?と訝しげな目で見つめてきます。

そんな中デビュー戦が決まります。

愛用の槍に人間無骨(人に骨がないかのように切れるの意)と名前をつけ

長島一向一揆討伐に向かいます。

初陣においては、ほとんどの武将が首をひとつ挙げるのがやっとのところ

彼はなんと27もの首を挙げる大活躍。

これにより重臣も安堵したとかしなかったとか。

いきなりLv99のロープレのようだ!




○長可、そして鬼武蔵へ

もともとのオニムサさんの名前は長一だった。

ある日お付きの者が、

「長一の一は、今織田で売り出し中の滝川一益と一緒で縁起いいですね」

と言ったところ

「は? お前何言ってんの? なんで俺がアイツに憧れてるみたいなことになってんだよ」

といい次の日

「はい、みんな聞いて~俺さ大好きな信長様から一文字貰って長可に改名すっから」

といきなり名前を変更。

そう彼は信長様が大好きだったのだ。

そんな信長様が近江の瀬田に橋を架けた。

信長様の渡り初めを待つべく、橋は通行禁止となっていたのだが

運悪くアイツが現れた…。

「お、橋できてんじゃん。近いしこっち通っていくか」

長可は渡ろうとしますが、当然番をしているものに止められます。

「すいません!通れません」

「あん? 出来てんだろ? 通るぜ」

「すいません。通すと後で僕の首飛んじゃうので回ってもらえます?」

「今、飛べよ」

「はい?」

「後でと言わず今、飛ばすってことだよ!」

というが早いか番人を殺害。

さらに取り囲む番人たちに

「俺は、森長可! 邪魔立てすると、この橋もろとも辺り一帯焼き払うぞ」

と恫喝し悠然と橋を渡って行った。

後日信長に長可がこの一件を話し裁定を仰ぐと

信長は笑って、「昔五条橋で人を討った武蔵坊弁慶がいたが

長可も瀬田の橋で人を討ったとして鬼武蔵なんて名乗ったらいいぞ」

と逆に褒められる始末。

「マジカッケー!! 今日から鬼武蔵名乗ります!」

長可さんも気に入ったらしく鬼武蔵は信長公認で誕生したのだった。

やっぱり変わり者同士、気が合うのね。




○高遠城は血に染まり

信長様のお気に入りとなった鬼武蔵さんは武田攻めの先鋒に任じられた。

さすがは鬼と呼ばれた男ものすごい勢いで武田領を侵攻して行った。

あまりの快進撃に信長様も「さすがに罠じゃないのか?」と訝しがるほど

ついには武田最後の砦ともいうべき、高遠城へと到達。

織田信忠の合流を待って総攻撃を仕掛けることになった。

信忠の軍が張り切って城攻めを始めますが鬼武蔵さんは動かない。

「今どきクロースコンバットなんて泥臭くて流行らんよ! 時代はこれだぜ!」

と火縄銃を掴むと三の丸屋敷の屋上へと飛び乗った。

鬼武蔵さんの一軍もそれに続くとつぎの命令が飛んだ。

「屋根瓦を投げ捨て、屋根を叩き壊せ!」

屋根のあちこちに穴が開くと鬼武蔵さんはその隙間から銃口を差し込んだ。

「こうやるんだ!」

とばかりに城兵やその家族である老若男女動くもの全てに狙いを定め撃ちまくった。

三の丸の中が大人しくなると

今度は三の丸の屋根の上から、隣の戦線にも打ちまくり

信忠軍の手柄を横取りしまくり大層恨まれた。

かくて高遠城はあっさり陥落。

その時オニムサさんの下半身は返り血で真っ赤に染まっており

その姿を見た織田信忠

「大変だ! オニムサさんが大怪我をしている!早く傷の手当を」と促したが

「この血は某の血ではござらぬ」と応えたという

オニムサさん、恐ろしすぎます…。





○用の済んだ人質は…。

信濃攻略の褒美に信濃を頂いたオニムサさん

無事信濃を平定したもののまだまだ反乱勢力は残っていた。

8000人が蜂起した一揆を3000人で鎮圧。2400人を殺害するなど

その戦闘力に些かの衰えもなかった。

二度と反乱を起こさないよう反乱勢力の妻子を人質に取りこの地を納める事にするなど

やりたい放題の彼であったが、そんな折、本能寺の変が起こる。

するとこれを契機に反織田勢力が各地で蜂起。

日頃の恨みを晴らさんとする信濃国人に包囲され、さしもののオニムサさんも逃げることにした。

安全に逃げる為に彼が取った行動それは

事前に取っていた数千人の人質を盾にしながらの撤退だった。

「早く人質を解放しろ!」

「解放するとは言った、だがその日時と場所は指定しては居ない、我々がその気になれば…」

「ふざけるな!」

「冗談よ冗談! まあまって、国境まで行ったら返すからさ」

「さあ国境だぞ! 解放しろ」

「そう国境だな~ここまで来ればもう安心…返すよ……返す……死体だけどさ!!」

完全にやってることが悪人なのですが

人質を一人残らずその場で殺害! 安否確認でごたついてるところを

素早く離脱、

コイツ賢いかもしれない。 やってることはひどすぎるけど…



○幕引きはあえなく

信長死後、どさくさに紛れて元味方だった土地を

怒涛の侵攻で自分のものにしていったオニムサさん

ちょっとさすがにこれは……。

この様にイカレタエピソードが注目されがちなオニムサさんですが

実はイイトコもたくさんあるのです!

本能寺の変で信長に槍をつけ、弟の蘭丸を討ち取った安田国継を召抱えた際には

「武功は武功である」と周囲の者を黙らせたりしています。

彼の最後は長久手の戦い。

秀吉が「家康〆るんで手伝えよ! 遠江と駿河くれてやるからよ」

オニムサさんは甲斐もくれよ!と言ったがそれは通らなかった。

部下のためを思ってのことらしいが、このへんからフラグが立ちまくる。

出陣する前は友人に、「自分の娘は医者に嫁がせよ。決して武家には嫁がせるな」と発言したり

神社でヘビを食ってみたりしまいには白装束で出陣と

全てのフラグを立ててから戦場へ

案の定、眉間を打ち抜かれて落命。享年27歳 

戦死の知らせを聞いた敵の家康は

「オニムサさんを討ち取れたか…。ならばたとえ、

 宇喜多秀家や石田三成が束になってかかって来たとしても、ワシは負けぬるはずがないな!」

と発言 家康側の士気のあがり様もわかるというものです。

彼の存在は、それほど大きいものだったのでしょう

ならば味方の秀吉側はさぞ落胆したと思えば

「ヤッターー! あいつらホント目障りだったんで死んでくれてラッキー

 これはこの秀吉が天下をとるという流れ!間違いない!

 これで3年は安泰だな」

あれ?秀吉さん味方ですよね? 

なぜか、敵も味方も喜ぶオニムサさんの死。

まるで台風のように戦国を荒らしまわった男の物語でした。



オニコジ編:http://www.nicotto.jp/blog/detail?user_id=226561&aid=36776454

オニヨシ編:http://www.nicotto.jp/blog/detail?user_id=226561&aid=47671588

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2014/02/05 22:05
いつの時代も変わり者は在るものですねぇw
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2014/02/04 17:53
番と屋根の話は、四コマ漫画作品で元にしてると思われるネタを読んだことあります。(相変わらず偏った知識;)
なんで最後そんなにフラグが…。
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2014/02/02 20:39
はぁ〜 長文ですねぇ。。。

お部屋ユニークですね☆お邪魔しました〜
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2014/02/02 13:03
オニムサシさん、厄介者だったんですね^^;
ハチャメチャ感も半端ないですね^^;



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