Nicotto Town


安寿の仮初めブログ


別府鉄輪温泉・湯治日記 その9


鉄輪温泉を温泉として開拓したのは、一遍上人ということです。
踊り念仏で有名な時宗の開祖ですね。
ですから、この地が温泉になったのは、
鎌倉時代と言うことになります。

考えてみれば、
土地は、そこかしこから100℃の熱湯や蒸気が噴き出し、
地面を触れれば、ほんのりと暖かい。
水は、うっすらとではあれ、
塩などが溶け込んでる塩化物泉。
ですから、鉄輪温泉一帯は、
農業に適さない土地と言えるでしょう。

そんなこの地に、
湯治場を開くように勧めたのが一遍上人で、
この方、念仏を広めるために諸国を行脚した方だから、
きっと各地で、いろいろな温泉も経験してきたのだと思います。

その際、一遍上人が勧めたのが、
鉄輪温泉の高熱を利用した蒸し風呂。
つまり、サウナ。

ここは別府ですから、
普通の温泉なら、
周辺にいくらでもあったように思います。
ですから、他の温泉と差別化できる
何か新しい湯治方法が必要だったのではないでしょうか?
      
    一遍上人って、結構、商売気がありますね~  ☆\(ーーメ)

そこで着目したのが高熱泉。
鉄輪温泉だからこそ生み出せる蒸し湯の湯治施設を生みだせば、
諸国から多くの人が集まって、ウハウハ…  ☆\(ーーメ)

  以上、安寿の勝手な推測です。  


というわけで、
蒸し湯は鉄輪温泉の原点とも言える施設。

町内には数カ所、
足湯だけでなく、
膝から下だけを蒸す蒸し湯の施設も用意されていますが、
ここはやはり本来の蒸し湯を体験してみなくては…。

ということで今日は「鉄輪蒸し湯」に入ってみることにします。
ここは鉄輪温泉のちょうど真ん中にある市営の温泉施設。
すぐ側の広場には一遍上人像が置いてあり、
像にお湯をかけて願い事が出来るようになっています。

入場料は500円+レンタルの浴衣が210円。

ここは普通の温泉と異なって、
お湯に入るのではなく蒸し湯に入るのですから、
浴衣に着替える必要があるのです。

着替え用のTシャツ・短パンなどを持参すれば、
浴衣はレンタルする必要がありません。

普通の温泉と入り方が違いますが、
そこは施設の方が丁寧に教えてくれます。

まず、トイレ。

そして一度、
普通のお風呂の洗い場に行って、
簡単にかけ湯をして身体を洗います。
でも、湯船には入らず、脱衣場に戻り、
そこで作務衣のような短めの浴衣を着ます。

いよいよ蒸し湯へ。

なんと入口は小さなくぐり戸。
しゃがむような姿勢で中に入れば、
ムッとする熱気が襲ってくる。
天井は低く、
周囲は岩を組み上げて作った石室。
石室内に充満しているのは湯気ではないですし、
明かりとりの窓が付いているので真っ暗ではないのですが、
閉所恐怖症の人には、かなり厳しい環境です。

草を敷き詰めた寝床があり、
頭を置くように石が並べてあるので、
そこにタオルを置いて横になります。

そして暗い中でじっとガマンの8分間。

  あ、あつい…   ☆\(ーーメ) がまんせい!

下に敷き詰めてある草は
石菖(セキショウ)と言って、菖蒲の仲間の薬草。
この石菖を蒸すことで、
テルペンという鎮静効果のある芳香が石室内に充満し、
それを吸い込むことで心身を癒やすのだそうですが…

蒸した石菖の香りは、
ハーブティのような清々しい芳香というよりも、
新潟名物笹団子を蒸したような鄙びた匂い。

  なんだか笹団子になった気分です   ☆\(ーーメ) 笹団子に失礼!

サウナも確かに熱気で息苦しいですが、
サウナ室自体は明るくて、
変な匂いが籠もっていることもありません。

ここは暗くて狭くて熱くて独特の匂いが籠もっていて…  ☆\(ーーメ) 文句が多い!

  あ、そうか… 
  此処こそ地獄… 
  私はきっと無間地獄に堕ちたんだ…

  そう考えれば、
  ここは地の底、
  あるいは生まれる前の胎内であり、
  この責め苦のような荒行をくぐり抜けてこそ、
  再びこの世へ新たに生まれ変わってくることができるのじゃあ… 

と、仏教めいた解釈をこねくり回してはみたものの、

  あついようぅ~  くらいようぅ~   ☆\(ーーメ) 観念せぇ~!

…と、
ぴぴぴぴぴと、
遠くでキッチンタイマーの鳴る音。
  (私は地獄蒸し料理だったのだろうか…)

そして係員さんが石室の扉を開けて、
  「はい、ご苦労さま。8分経ちましたよ。もう少し入りますか?」
と声をかけてきたので、
  「でます、でます、もうでます~!」
とスタコラ退散。

外に出ると、

  はああ~、空気が美味しい…

係員さんが背中や腕に張り付いた石菖を払い落としてくれるので、
浴衣を脱いで、
今度は普通のお風呂で汗を流して、ようやくさっぱり。

お風呂から上がった後は、
小さな施設の小さな休憩所で水分補給して一休み。

  はあ~、生き返った~。


なるほど、こういう生き返る体験ができるからこそ、
蒸し湯は鉄輪温泉の名物になったような気がします。

正直言って毎日入りたいとは思いませんが、
でも、サウナがなかった時代、
多少蒸されて苦しくても、
思いっきり汗を流して、
最後にさっぱりできる施設は貴重だったのでしょう。

現在、鉄輪蒸し湯では、
なぜかヤッターマンとのコラボレーションが行われており、
   ↓参照 (別府市営の温泉施設とタツノコプロ(風呂)のコラボみたいです)
      http://www.wakuwaku-beppu.jp/event/tatsunokoburo02/
バスタオルを巻いてどくろスートンに腰掛けるドロンジョさまや、
女湯をのぞくステテコ姿のボヤッキーが、
施設内の壁に貼られていたりするのですが、
いまいちコラボレーションする意図が不明。

  はっ!
  今の蒸し湯体験は、
  ひょっとするとひょっとして

  「ほーれ、おしおきだべぇ~」ってこと?       ☆\(ーーメ)  なわけなかろ


もうちょっと続く




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