Nicotto Town


グイ・ネクストの日記帳


命のかけら 神楽と安倍晴明


「おじい様、何故生きるのでしょう」
と、神楽は晴明に聞いた。
「神楽よ・・・そう急くな」
「急がない事が生きるという事ですか」
「答えを急がない事だ。何故生きるのか・・・その答えはわしが教えてもお前は信じたりしないだろう。神楽よ、何故生きるのか。それは今与えられた身体という器を持って体験する事なのだ」
「体験する?知識として求めるのではなく?」
「神楽よ、命とは体験できるからこそ、五感があるからこそ輝くのだ」
「しかし、おじい様。その五感で世界を残酷に感じ、夢も希望も無くしてしまう事だってありますよ」
「探すモノを変える事だ。そう、意識を変える」
「・・・わかりませんね。それはボクが残酷な姿と絶望を探しているように聞こえます。おじい様、そんな馬鹿な事をボクに信じろというのですか」
「神楽よ・・・善と美と豊かさを探してみよ」
「・・・そんなどうやって探せって言うんです。探した事も無いモノを!」
「知らないのなら、善と美と豊かさに関する知識の絆を増やす事だ。善とは何か。小さな善と大きな善。真実の善と偽りの善。悪の中から見つける善。美とは何か。醜さの中から見つける美。存在の美。姿の美。形の美。豊かさとは何か。十分と思える心。存在を愛する心。経済的に豊かな心。心そのものが豊かである事。絆を増やしていく。それは必ずそなたの役に立つ。神楽よ、知の探究から始まり。知識を体験に結びつけよ」

「なるほど。おじい様、最初の始めるための入り口だけでも教えてください」
「簡単な感謝をするだけじゃ。生かして頂きありがとうございます。とな」
「とてもそんな風に思えないよ、おじい様」
「神楽よ、マッチをすれば例外無く、火はつく」
「そりゃつきますよ。当たり前じゃないですか」
「感情を込める必要もないし、思う必要もない。信じる必要もない」
「じゃあ、何もするなって事ですか」
「ただ委ねるのじゃ」
「委ねる?どうやって?」
「目をつぶりリラックスする事じゃ」
「そんな簡単なわけがない」
「試してみればわかる」
「・・・生かして頂きありがとうございます」
「どうじゃな」
「眠くなりました」
「なら、それに従えばええ」
「それではボクは納得できない」
「言霊を信じよ。宇宙は無限であり、犠牲を嫌う。宇宙には善しかない」
「おじい様、善の追及の次は宇宙ですか?」
「宇宙を感じる・・・それが真実の声となりて、そなたを導く」
「そんなの無理ですよ。」
「では、目をつぶればよい」
「目をつぶると怖いです」
「怖さを感じている・・・そう、つぶやいてみい」
「・・・怖さを感じています。あれ?」
「認めれば消えるものじゃ」
「・・・」
「落ち着いてきたかな」
「はい、おじい様。」
「善と美と豊かさを不足と入れ替える事ができるな」
「・・・置き換える?」
「そうじゃ。置き換えよ」
「不足を感じてしまうのが、ボクの課題・・・それを善と美と豊かさに置き換えるのか」
「そうじゃ。わかってきたな」
「ボクの感じた事がボクの課題」
「うむ」
「うん、やってみるよ、おじい様。また訊くからまた出てきてね」
「いつでも呼ぶがよい。うむ」
「はーい」
神楽は走り出した。
胸の底から嬉しさがこみあげてくる。
ボクはボクに与えられた課題をこなす。
答えはずっと先でもいい。
いずれわかるし。
それは人それぞれ違う。
ボクにはボクの答えがある。
ふふ、それでいいんだ。

完。

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2014/07/01 02:50
注意:これはサリエルを題材にした物語じゃないよw

題材は何故生きる?でした。重いテーマにあえて挑んでみました。

あい



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