夜の女神ニュクス様
- カテゴリ:小説/詩
- 2014/11/09 23:07:17
何も無い空間に赤き光と共に現れる。
全ての妖怪と悪魔と亡者たちは静まり返る。
この瞬間ばかりは、冥界にも人間界にも行き場の無いジャックオーランタンがランプを持ち、あるじの先頭を飛んで行く。
その後ろを歩くはプラチナのロングの髪をした夜の女神ニュクス様。
髪は風になびくと、夜空に様変わりする。夜空の向こうに見えるのは星空だ。彼女の束ねる髪の奥には銀河系すら見える。見るモノによって変わる目の色。虹色なのか、それとも最初から赤なのか、書いているボクには赤に見える。そして微笑まれると黄金色に変わる。
左の人差し指にはブラックオニキスの指輪をはめ、軽く口づけすると魔王フェンリルを呼び出す。
宵闇のローブと同じ生地で編まれた宵闇のイブニングドレスを優雅に着こなし、空中をただ歩く。
全ての悪魔は跪き、数少ない燭天使も足の歩く先に頭を移動させている。
ニュクス様は言われる。
「そなたの闇をわらわに捧げよ。葛藤、苦しみ、怒り、悲しみ、絶望、その全てを」
「全てわらわが食してくれよう。そなたとの生まれる前の約束によりて」
「たとえそなたが忘れていようとも」
「そなたは差し出すだけでよい」
「さすれば、わらわは振り降ろそう、神に与えられし唯一の武器、デスサイズを」
ニュクス・・・永遠の終わり・・・と、語られる存在でもあります。
また絶対なる終わりとも語られます。
死とはそもそもそういうモノかもしれません。
それは死ぬことがイコール終わりではないとボクは感じています。
ボクには殺された前世もあれば、自殺してしまった前世もあります。
ただやはり死んでしまったらそこで終わりってことではないのです。
ちゃんと帰る場所があるのです。
言葉にすると矛盾した言葉になってしまいます。
ただそこにはすべてがあるのです。
しかしそれはひとつなのです。
すべてを含みすべてでは無い。
有るという存在も、無いという存在も、二つとも同時に包みこんでいる。
ほんとうのすべて。
わがうちにあり。
あなたの胸の中にあり。
あなたとボクの帰る場所なのです。
あい