Nicotto Town


グイ・ネクストの日記帳


アレクサンドリート・デュ・ディアーブル


12の場所に針は動く。
ニュクス様のおいでになられる時間だ。
私は赤き炎を左目から取り出して炎の絨毯を敷く。
四角の黒き扉は開き、ニュクス様は降臨される。

「お待ちしておりました。何をお食べになられますか?」

「アレクサンドリート・デュ・ディアーブル…タルタロス、わが息子がまた絶望を1つ刈り取ってきた。その絶望は星のグラスの中に閉じ込めている」

「それはそれは…ではそれを一緒に味わいましょう」

「ふむ。冥府の薔薇は咲いたか?」

「はい、ジャムにしてご用意しています。またお茶の用意もできております。味付けはいかがいたしましょうか」

「今日はリンゴがよい」

「はい、リンゴならここに」と、私は右目にある深き森からリンゴを取り出してみせた。

「そのリンゴは人として生まれる事を望むか?」

「ニュクス様にお召し上がりいただくとはそういう事でございます。生前は自虐の強い者でしたが、やっと誰かの役に立ちたいと望み、星のグラスからリンゴに姿を変えて今ここにいます。そして今宵の私は女性でしょうか、それとも男性でしょうか」

「わらわにとってそなたはわらわの一部…男性として使役すれば男性。女性として使役すれば女性。だが、わらわはそなたが固定される事を嫌う。それゆえに揺らぎを与えた。活動時間にも制限を与えた。ゆえにそなたはどちらでも無い。揺らぐ存在。それがそなたよ」

「さすがはニュクス様…私自身分からなくなるのです。自分は本当はどちらであったのか。お聞きしてあらためて自分という存在を理解しました。ではリンゴを切ってまいります」


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2014/12/15 22:24
これがリルルさんのアレクス。
ああ、最後のセリフまでの流れがとても素敵です。
揺らぐ存在…深いですね



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